中学生の保護者が考えたい子どもの「学習障害」。読字障害・書字障害・算数障害などLDには種類がある。

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中学生の保護者が考えたい子どもの「学習障害」。読字障害・書字障害・算数障害などLDには種類がある。

中学校に上がってから成績がふるわない。お子さんの成績表や返却されたテスト結果を見て、あなたは悩んでいるところかもしれません。内容が難しくなったのはもちろんですが、もしかしたら「学習障害」をお子さんは抱えている可能性があります。怠惰なだけだと叱責していたら、お子さんは「二次障害」を引き起こしてしまうかもしれません。学習障害・二次障害について学んで、お子さんのサポートをしてあげてください。

学習障害とは聞く・読む・書くなど特定の能力の使用・習得が困難な状態

学習障害とは聞く・読む・書くなど特定の能力の使用・習得が困難な状態

「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」−-これが文部科学省による学習障害の定義です。英語名である「Learning Disabilities」の頭文字から「LD」と表記される場合も多くあります。

学習障害の原因は、中枢神経系(脳や脊髄の神経細胞が集まっている部位)に障害が起きたことに依ると推測されたりしていますが、明確には分かっていません。また症状が軽かったり能力が高くて当人の努力で苦手な部分を補っていたりすると、学習障害の発見が遅れたりそもそも分からないままお子さんが苦しみ続けたりする可能性があります。お子さんはもちろん、学習障害は家族のせいで起きるものではありません。早めに発見して治療などに取り組むのが望ましいです。

■学習障害のタイプ
学習障害は大きく3タイプに分けられます。個人差が大きく、なかには併発するお子さんもいるぐらいです。それぞれの特徴をまとめましたので、お子さんに下のような特徴がないか確認してみましょう。

■読字障害(ディスレクシア)
字を読むのが苦手なタイプです。ボヤける・逆さに見える・黒いカタマリに見えるなど、文字の見え方・認識の仕方に問題が生じているといわれます。目で見た文字を音にするのが苦手な傾向も見られます。

【特徴】
・幼児期から文字に興味がなく、覚えようとしなかった
・1文字読むのに時間がかかる
・文字や行を飛ばして読んでしまう
・単語や文章を変なところで区切る
・読書を拒否する など

■書字障害(ディスグラフィア)
文字を書くのが苦手なタイプです。手を動かして文字を書く指示が脳から出ても、身体まで伝達する機能が上手く働いていないために引き起こされる障害との説が有力視されています。

【特徴】
・形が似ている文字を書き間違える(ぬ/め、わ/ね/れ、雪/雷 など)
・同じ音(オン)の文字を書き間違える(お/を、え/へ、わ/は など)
・鏡文字を書いてしまう
・読めるのに書けない/書いてある文字が書き写せない など

■算数障害(ディスカリキュリア)
数字や数式を扱ったり、論理的な思考をしたりするのが苦手なタイプです。数字に関する能力だけに障害がみられる場合が多く、算数の学習が始まるまで分からない人も大半です。

【特徴】
・数字や記号の理解が苦手
・数の大小が区別できない
・繰り上げ/繰り下げの計算ができない
・九九を覚えられない

引きこもりやうつ病など学習障害による「二次障害」

引きこもりやうつ病など学習障害による「二次障害」

学習障害を持つお子さんは、いじめや仲間外れなどを経験しているかもしれません。辛い経験が自信の喪失や自己否定につながると「二次障害」が起きる恐れがあります。二次障害とは、学習障害を含む発達障害に付随して引き起こされる行動面・精神面での異変を指します。親御さんがいち早く学習障害やそれに苦しむお子さんに気づいて二次障害が起きないようにサポートしてあげるのが望ましいです。

■起きる可能性がある二次障害

・脱毛癖/貧乏ゆすり/爪噛み
・引きこもり/不登校/家出
・暴力/暴言/素行不良
・うつ病/パニック障害/社会不安障害
・意欲減退/集中力・学習能力低下/情緒不安定/無気力 など

学習障害の子どもとの向き合い方

学習障害の子どもとの向き合い方

学習障害を乗り越えるためには親御さんのサポートが必要です。まずは落ち着いて障害を理解して受け入れる、さらにお子さんと向き合うのを親御さんは意識しましょう。ほかにも具体的な注意点をまとめてみました。お子さんと接するときに意識してみましょう。

■親御さんが避けるべき注意点
・子どもの言動を否定しない(好きで読み書き・計算を間違えているわけではない)
・他の子どもと比較しない(子育ての基本。比較されると精神的な負担になる)
・過度に応援しない(「がんばれ」という声かけが負担になる場合やがんばってもどうしようもない場合がある)

■親が子どもにできるサポート
・学習障害を理解する(怠惰ではなく障害だからだと理解できれば親子で安心でき、余裕がもてる)
・子どもの話を聞く(学習障害は個人差が大きい。障害もひとつの個性と受け入れ、得意分野を伸ばせば苦手な分野を自分でカバーできたりする)
・学校や塾の先生など周囲の人に相談する(家庭だけで抱え込まない。特別支援教育の制度を利用して勉強した方が結果につながる場合も)
・支援を受けられる場を探す(地域の保健所や支援センターで情報収集したり親同士のコミュニティに参加したりしてみよう)
・子どもに適した勉強方法をみつける(スマホやタブレットなどのツールを使えば学習が捗る場合も。親子で一緒に勉強すれば、学習習慣の定着や障害の早期発見につながる)

家族だけでなく学校や専門の医療機関などに相談

家族だけでなく学校や専門の医療機関などに相談

学習障害かどうかの判断は専門の医師に任せてください。親御さんや家族だけで対処するには限界があります。治療については医師に相談し、生活面・学習面では学校や近くの支援センターに頼ってみてください。とくに学校教育法によって特別支援教育についても定められており、お子さんの特徴・個性に合わせた教育が受けられるようにもなっています。
またお子さんが学習障害だと診断されたとき、焦るのは当然で、事実を簡単に受け入れられる人ばかりではありません。ただ、親御さんにもお子さんにも責任があるわけではないため、誰かを責めたりせずに落ち着いて対処しましょう。これまでの失敗や周りからからかわれたり怒られたりした経験からお子さんは自信を失っているかもしれません。親御さんが寄り添って、自信を取り戻せるようにサポートしてあげてください。

井上智介

監修:井上智介

島根大学を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び2年間の臨床研修を修了する。 その後は、精神科医、産業医の2つの役割を中心に活動している。精神科としては、うつ病、発達障害などを中心にして、全般的に精神科疾患を対応している。産業医としては、毎月30社程度を訪問して、精神科医や健診医の経験もいかして、労災や健康障害の防止の活動している。さらに、全ての国民に医療情報の正しい理解を目標にして個人ブログやSNSを活用するだけでなく、コラムを担当したり、全国で講演したり、精力的に医療情報の発信を続けている。