声が低くなって大人に近づく。中学生男子におとずれるカラダの変化「声変わり」のメカニズム

声が……変だ。もしかしたら中学生のあなたもそう感じている一人かもしれません。裏返ったりかすれたりで声がうまく出せない。なんでだろうと思ってネットで情報を探しているところでしょうか。

親御さんや先生から教えてもらった人もいるかと思いますが、とくに中学生の男子は「声変わり」を迎える時期なのです。このまま声が出なかったらと不安な人もいるでしょう。しかし大丈夫です、安心してください、声変わりは誰しもが通る道です。声変わりをむかえたあなたの体にどのような変化が起きているのか、またどのような点に気をつければいいのかをまとめてみたいと思います。

喉仏が出てきたら声変わりのサイン

「声変わり」とは、高い声が出にくくなり、反対に低い声が出るようになる体の変化です。正しくは「甲状軟骨」と呼ばれますが、喉仏(のどぼとけ)がボコッと出てきた人もいるでしょう。これは声変わりをしているサインと捉えられます。

アンドロゲインとよばれるホルモンの働きによって、声帯の外側にある喉仏が外(体表側)に飛び出してきます。喉仏の内側には声帯があり、喉仏が飛び出た影響で声帯も長く・太く成長するのです。

声帯は震えることで、音声を生みだしています。そのメカニズムはバイオリンやギターなどの弦楽器と同じです。弦は長く・太い方が低い音が出ます。声変わりすると1オクターブほど音が下がるといわれていますが、弦の役割をする声帯が長くなって厚みを増した結果、声質も変わってしまうのです。

11〜14歳、思春期をむかえた男子が声変わりする理由

男子が声変わりをするのは、11〜14歳ごろ。少年期から青年期に移り変わって思春期をむかえる時期です。体毛が濃くなったり、体全体が筋肉質になったりと、声変わり以外にも体は変化します。

体の変化のなかでも、なぜ声が変わるのでしょうか。その理由はハッキリとはしていません。ほかの動物がするように、男性が求愛を行うのためとの説を唱える人もいます。低い声で女性にアピールをするためなのでしょうか。

さらに、男性としての威勢を表現するためとの説もあり、実際に米・ペンシルベニア州立大学で行われた研究では声の低い人の方が大きくて強い印象をもたれるとの結果が出たそうです。

イライラしてものどに負担をかけないようにこころがける

声変わりが始まってから終わるまで3か月から１年程度かかるといわれています。なかには高校生になっても声が安定しない人もいるぐらいです。声変わりをしている最中は、声帯の成長に周りの筋肉が追いついていない状況といえます。

また以前よりも通る声がでず、こもって聞こえるでしょう。声が出なくてもイライラしたり焦ったりせず、のどに負担をかけないようにこころがけてください。こもっているからといって力いっぱい声をだすと、声帯を傷つける恐れがあります。傷ついた声帯にはかさぶたができ、声変わりが終わった後も声がかすれたままになるかもしれません。

学校の授業でうたう機会もあるでしょう。声がうまく出せずに恥ずかしい気持ちも音楽の先生は理解してくださいます。無理して声を出そうとせず、先生にも相談してみてください。また部活動でも大きな声を出しすぎず、無理はしないようにしましょう。

声変わりを早く終わせたいなら「ハミング」をやろう

もしかしたら声変わりを早く終わらせたいと考えているかもしれません。その場合は「ハミング」で声帯周りに筋肉をつけてみるといいでしょう。口を閉じた状態で「んー」と発音してみてください。

ハミングは負担をかけずに声帯の筋肉を鍛えられます。低音から高音まで滑らかにハミングで発声してみましょう。声変わりの時期を早く脱出でき、声が安定してくる効果が期待できます。

声変わりは女子にも起きている！男女ともにのどを大事に

男子ほどではありませんが、女子も声変わりをしています。男子よりも早い時期に変化してはいますが、喉仏が前に出たり声帯が男子ほど長くはなったりしないため、実感している人は少ないかもしれません。

しかし男子だけでなく、女子のみなさんも中学生の時期は体が変化しています。たとえ声変わりを実感していなかったとしても、のどに負担がかかるような無理はしないようにこころがけましょう。なかには、将来歌手になりたい人もいるかもしれません。そういった人はプロの指導のもとで、無理のないレッスンをうけるようにしましょう。