秋田・石川・福井が上位に。7月末に発表された「全国学力テスト」の結果を考察しよう

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秋田・石川・福井が上位に。7月末に発表された「全国学力テスト」の結果を考察しよう

小中高教育 2019.09.30

4月に行われた「全国学力テスト」の結果が公表されたのをご存知でしょうか? 子どもたちの学習状況を把握するために毎年行われるテストですが、今年から変更になった点もあります。結果を見てお子さんの学習面を思い返すのはもちろん、国全体や地域でどのような課題の解決に動いているのかも勉強してみましょう。

小六・中三合計200万人以上が参加する「全国学力テスト」

小六・中三合計200万人以上が参加する「全国学力テスト」

「全国学力テスト」とは、下に書いた正式名称の文字通り、子どもたちの学力や学習状況を調べることを目的に行われます。2019年4月には実施されていませんが、2018年10月17日公開の記事で紹介した「保護者に対する調査」を行う年もあります。

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正式名称:全国学力・学習状況調査
対象:国公私立合計およそ3万校の小学6年生と中学3年生
調査対象児童・生徒数:約217万人
集計対象児童・生徒数:約202万人
教科:国語と算数・数学は毎年/理科と英語は3年ごと
調査日:2019年4月18日(木)
結果発表:2019年7月31日(水)

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[過去記事]
年収アップが学力向上に関係するって本当!?全国学力テストの「保護者に対する調査」から見えてくるもの
https://std-ie.jp/tips/tips90.html

中三で英語が初実施!基礎知識と活用力を一体的に問う形式に変更

中三で英語が初実施!基礎知識と活用力を一体的に問う形式に変更

2019年4月実施分から変更された点があります。ひとつは、例年行われる国語と算数・数学の試験において知識と活用力を一体的に問う調査問題が導入された点です。いままでは「A問題(基礎知識を問う)」と「B問題(活用力を測る)」に分かれていました。その2つを統合したのです。

さらに中学3年生に英語のテストが初めて実施されました。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が試される形式が用いられましたが、パソコンを使う「話す」の試験は機材面の課題が浮き彫りになります。機材が揃わなかったため約5000校(約5万3000人)が実施を取りやめたり、当日の不具合で約1万5000人分が採点できなかったりしました。そのため、「話す」の結果は、参考値として公表されています。

わかりやすく表現する力が課題として浮き彫り

わかりやすく表現する力が課題として浮き彫り

では、テストの結果を見てみましょう。全国の平均正答率は下の結果となりました。

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小学6年生=国語:64.0%、算数:66.7%
中学3年生=国語:73.2%、数学:60.3%、英語(「聞く」「読む」「書く」):56.5%
※[参考値]英語「話す」:30.8%

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国語と算数・数学では、小・中学生ともに自分の考えを相手にわかりやすく表現して伝える点に課題が見られました。問題文や図形などから根拠となる情報を読み取って、自分の言葉としてまとめる力を伸ばしていく必要がありそうです。

また英語でも同様の傾向がみられます。平均正答率をみるかぎりでは「聞く」:68.3%、「読む」:56.2%と聞き取り・読み取りの力はある程度は認められるものの、「書く」:46.4%や「話す[参考値]」:30.8%をみると表現力は乏しいといえるでしょう。

秋田・石川・福井が好成績。東高西低の傾向は変わらず

秋田・石川・福井が好成績。東高西低の傾向は変わらず

調査の結果を公表している国立教育政策研究所のHPには、地域別でのデータも掲載されています。都道府県別の平均正答率(公立のみ)をみると、国語と算数・数学では秋田県・石川県・福井県が上位を占めました。また全国的な傾向として「東高西低」といわれ、都道府県別・政令指定都市別ともに、東日本の方が西日本よりも良い結果が出ています。

さらに英語では福井県・神奈川県と並んで1位になった東京都では、習熟度別でクラスを再編し、1クラス25人以下の体制を整えるなど授業改革も進んでいます。全国平均が56.0%のなか、62%の結果がでた埼玉県さいたま市では英語を学ぶ「グローバル・スタディ」の授業を小学1年生から実施したり、ALT(外国語指導助手)を多く配置して、ディベートや英語劇に力を入れた取り組みがなされているようです。

詳しいデータや文科省の教育改革については国立教育政策研究所のHPで

詳しいデータや文科省の教育改革については国立教育政策研究所のHPで

2019年4月に行われた調査の結果を簡単に紹介しましたが、先述した国立教育政策研究所のHPではより詳しい調査報告書が公開されています。対象別・教科別の詳しい調査結果はもちろん、授業の改善点や文部科学省が進める教育改革についての情報も参考になるでしょう。ぜひパソコンやスマホからアクセスしてみてください。

教育ジャーナリスト マザークエスト代表/中曽根陽子

監修:教育ジャーナリスト マザークエスト代表/中曽根陽子

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。 オフィシャルサイトhttp://www.waiwainet.com/