個別指導塾スタンダードのお役立ち情報
「AO入試」とは? 出願・選考方法、推薦入試との違いを学ぼう
誰にも負けないほど熱中しているものがある。そんなあなたは「AO入試」での大学進学を検討してみてはいかがでしょうか。面接や小論文などで評価する学校もあり、推薦入試と混同している人もいるでしょう。推薦入試との違いや特徴についてまとめて紹介していきます。
平成30年度大学入学者の9.7%がAO入試から
各大学の入学選考事務局を意味する“アドミッションズ・オフィス(Admissions Office)”の頭文字から「AO入試」は名づけられました。受け入れ方針である「アドミッションポリシー」に基づき、面接や小論文・提出課題から、大学・学部・学科ごとが期待する人物像に受験生が該当するかを評価する試験です。
AO入試の実施情報および入学者数は以下のとおりです。文部科学省が公表している平成30年度入学者選抜でのデータでは、国公立・私立を合わせて大学入学者の9.7%がAO入試から入学したとの結果が明らかになりました。
AO試験からの入学者数:59,831(9.7%)
※大学数:569(75.4%) / 学部数:1,579(66.2%)
[内訳]
●国立→入学者数:3,603(3.7%) ※大学数:57(69.5%) / 学部数:195(48.9%)
●公立→入学者数:899(2.8%) ※大学数:30(33.7%) / 学部数:50(25.3%)
●私立→入学者数:55,329(11.4%) ※大学数:482(82.5%) / 学部数:1,334(74.7%)
※文部科学省HPより / カッコ内は全体における割合
そのほか、AO入試実施校ごとで違いがあります。例として令和2年度新入学生向けの試験内容をいくつか紹介します。
■早稲田大学国際教養学部(4月入学/国内選考)
アドミンション・ポリシーでは、海外経験や国際的な価値観はもちろん、英語学習そのものへの意欲の強さも重視する点を明記。またAO入試でありながら、書類審査と筆記審査だけで面接がない。
2019年9月6〜13日 出願
→2019年10月27日 筆記審査
→2019年11月25日 合格発表
■慶應義塾大学理工学部
数学オリンピックなどの科学技術系のコンテストや課外活動(文化系・運動系は不問)などにおいて、世界・全国レベルでの高評価を得ているのを重視している。
2019年10月8日〜11日 出願
→2019年10月25日 第1次選考(書類選考)合格発表
→2019年12月8日 第2次選考(面接選考)
→2019年12月13日 第2次選考合格発表
■東京工業大学工学院
機械系・システム制御系など当学部で扱う分野への興味や理学系科目への基礎学力はもちろん、人類・社会に貢献しようとする志を見られる。とくにAO入試では発想力やコミュニケーション能力を評価する旨が「求める学生像」からうかがえる。
2019年12月17日〜19日 出願
→2020年2月5日 第1段階選抜 合格発表:志願者多数の場合のみ。センター試験の成績によって
→2020年2月9日 第2段階選抜 個別学力検査(筆記+面接)
→2020年2月12日 合格発表
■ベルエポック美容専門学校
学生の70%がAO入試から入学。筆記試験はなく、面談で人間性が審査される。早い段階での出願者は、オープンキャンパスや実技特待生講座での経験値をもとに学費が免除になる「実技特待生試験」も受けられる。
オープンキャンパス参加+面接_2019年3月16日面接予約受付開始
→2019年6月1日〜8月18日 エントリー(第一期)
→2019年8月1日〜8月25日 出願
→一週間以内 合格発表
AO入試の出願条件・選考方法、流れ
出願についても勉強しましょう。8月1日以降に出願受付を行うのが決まりですが、6月ごろから実施される学校説明会やオープンキャンパスで出願前エントリーを求めているケースもあります。エントリーシート提出や予備面接などがあるため、参加しないと出願できない可能性もあるのです。また複数の学校・学部に出願する「併願」ではなく、出願先を1つにしぼる「専願」を条件としてところも多くなっています。
選抜方法は推薦入試と同じく書類選考・面接・小論文で志望動機や専門知識が問われるほかに、国立大ではセンター試験、私立でも学力試験・プレゼンテーション・グループディスカッション・フィールドワークなどが学校独自で課される場合があります。Ⅰ期・Ⅱ期……と募集を複数回行い、各回で募集人数が違う学校もあるため志望校の入試傾向は個別にチェックしておきましょう。
学校ごとで異なりますが、合格発表は出願からおおよそ2ヶ月後ごろに行っている学校が多いです。先述のベルエポック美容専門学校のように、専門学校では試験から1週間程度で行っている場合もあります。
本格的な動き出しも学校説明会などに参加する高三の6月ごろからと一般入試や推薦入試よりも早めですが、専門知識を身に着けるために高二以前からの準備は欠かせません。さらに不合格になったら一般入試で再チャレンジはできますが、ペーパーテスト対策もする必要があるため簡単に考えるのは失敗のもとです。
AO入試と推薦入試の違い
またAO入試と似ている形式に「推薦入試」があります。種類がいくつかありますので、簡単に紹介します。
---------------------------
・指定校推薦:大学が指定した特定の高校の在学生だけが出願できる。
・公募推薦:各大学が出す出願条件を満たした生徒が、高校長の推薦のもとで受験する。どこの高校かは問われない。
→公募制一般推薦:高校の学業成績が主な評価基準
→公募制特別推薦:部活動そのほかの課外活動などの実績が主な評価基準
・外部検定試験:おもに英語の評価において、英検やTOEFLなどのスコアによって試験免除や点数加算が行われる仕組み。
---------------------------
AO入試と推薦入試との違いはどういった点にあるのでしょうか。対になっている項目もあるため、下のように表にまとめてみました。
AO入試についてのお悩みQ&A
AO入試の情報をまとめてきましたが、実際に受けようと思ったときに気になる点もあるでしょう。そのほか多くの受験生がぶつかる悩みについてQ&A形式でまとめてみました。
Q:専門学校のAO入試とはなにをする?
A:大学のAO入試と大きくは変わらない。面接・面談を通して、受験生は意欲や個性を見られる。エントリー条件としてオープンキャンパスや説明会の参加が必須の学校も多く、早めに確認が必要。大学との違いとして、入学前のプレスクールを開催して、学校の雰囲気に慣れさせたり、友達作りをサポートしたりしている学校もある。
Q:AO入試に落ちたら?
A:専願が基本のため、不合格なら一般入試で再チャレンジするかAOで受験できる他校を受験するのが一般的。複数回募集がある大学なら再受験もできなくはないが、志望動機や人物評価をされた上での不合格のため、短期間でリカバリーするのは簡単ではない。
Q:AO入試で気を付けるべきポイントは?
A:学びたいテーマを自分で探求しておき、今までの取り組みと大学入学後の将来像に一貫性を持たせるのが最も大事。ほかにも志望理由書と面接で話す内容に整合性をもたせたり、高校にAO入試対策のノウハウがなければネットなどで自分から調べて積極的に動いたりするのも重要。
Q推薦とAOのどちらを受けたらいいか迷っている
A:自分に有利な方を選択すればいい。高校の成績に自信があれば推薦を、秀でた分野について知識や情熱があればAOと選ぶのも1つ。出願条件が厳しくて倍率が低い場合もあるため、募集要綱をチェック。
AO入試の準備にも塾を活用しよう
スケジュールや試験の意図は異なりますが、AO入試の準備は推薦入試の内容と似ている点も多いです。志望理由書の準備や面接の練習など、座学だけをしていては対応できない人もいるでしょう。
とくに、高校にAO入試対策のノウハウがなければ、塾をぜひ利用してみてください。入試に対する理解が深まるだけでなく、同じようにAO入試を受ける友達と情報交換もできるかもしれません。今回の記事を参考にしてチャンスがありそうでしたら、AO入試という選択肢もぜひ検討してみてください。