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苦手克服!論理的思考を身につけろ!数学的帰納法とは?
「数学的帰納法」
この言葉、一度は聞いたことがありますよね?
ただ、ほかの数学の単元とちょっと毛色が違うため、苦手だった…という方も多いのではないでしょうか?
今回は、この「数学的帰納法」にフォーカスします!
数学的帰納法とは?
数学的帰納法は、ある自然数 nに関する命題が成立することを示す方法です。たとえば「すべての自然数 nに対して P(n)が成り立つ」ということを証明したいときに有効な手法です。ここで P(n)は n に関する命題です。
数学的帰納法を解く手順
数学的帰納法には、次の2つのステップが必要です。
1.初期条件の確認
n=1 のとき(または別の開始点の場合もあります)、命題 P(n)が成り立つことを示す。
2.帰納段階の確認
任意の k≥1 において P(k)が成り立つと仮定し、それを基に P(k+1)が成り立つことを示す。この手順は「帰納仮定」とも呼ばれます。
この2つのステップが成り立てば、数学的帰納法により nの任意の自然数に対して命題 P(n)が成り立つことが証明できます。
上の画像のようなドミノ倒しをイメージしていただければ幸いです。
1.初期条件の確認
まず、最初の命題 P(1) を確認します。最初のドミノは倒れるか!?の確認です。
2.帰納段階の確認
次に、任意の k で P(k) が成り立つと仮定して、P(k+1) も成り立つことを示します。前のドミノが倒れたら次のドミノも倒れる!?の確認です。
この2点の確認ができれば、どんな数であっても前が成り立つから次も成り立つと自動的にすべての数に対して成立することが証明できることができます。
非常にパワフルです。
数学的帰納法の例題
例題1.自然数の和の公式
「すべての自然数 n に対して、次の等式が成り立つことを示せ。」
1+2+3+⋯+n=(n(n+1))÷2
解答
1. 初期条件の確認
まず、n=1のときに命題が成り立つか確認します。
1=(1(1+1))÷2=1
初期条件が成立するため、次に進みます。
2. 帰納段階の確認
任意の自然数 k に対して 1+2+3+⋯+k=(k(k+1))÷2 が成り立つと仮定します。
次に、n=k+1の場合を考えます。つまり、左辺の和が次のように表されます:
1+2+3+⋯+k+(k+1)
帰納仮定を利用すると、この和は次のように変形できます。
=(k(k+1))÷2+(k+1)
分母を揃えて整理します。
=(k(k+1)+2(k+1))÷2=(k+1)(k+2)÷2
したがって、n=k+1 の場合も成立し、帰納段階が確認できました。
このため、数学的帰納法により、命題はすべての自然数 nに対して成り立つと証明されました。
例題2.等比数列の和
「すべての自然数 n に対して、次の等式が成り立つことを示せ。」
1+r+r×2+⋯+r×(n−1)=(1-r×n)÷(1-r)
解答
1. 初期条件の確認
まず、n=1 のときに命題が成り立つか確認します。
1=(1-r×1)÷(1-r)=1よって、初期条件が成り立ちます。
2. 帰納段階の確認
任意の自然数 k に対して命題が成り立つと仮定します。つまり、
1+r+r×2+⋯+r×(k−1)=(1-r×k)÷(1-r)
が成り立つと仮定します。こ
次に、n=k+1の場合を考えます。
1+r+r×2+⋯+r×(k−1)+r×k
帰納仮定を利用してこの和を次のように変形できます。
=(1-r×k)÷1-r+r×k
分母を揃えて整理すると、
=(1-r×k+r×k(1-r))÷1-r=(1-r×k+1)÷1-r
したがって、n=k+1の場合も成立します。このため、すべての自然数 nに対して命題が成り立つと証明されました。
よくあるミスと問題点
1.初期条件の確認不足
初期条件を確認せずに進めると、証明が成り立たなくなる可能性があります。特に問題で与えられた初期値が何かをよく確認しましょう。
2.帰納仮定の適用ミス
帰納段階で、任意の k についての仮定が正しいという前提で k +1 の場合を考えます。この仮定を忘れたり不適切に適用したりすると誤りが生じます。
3.整理ミス
数式の変形には慎重さが求められます。特に複雑な式の場合、分母の統一や因数分解などを正確に行うことが重要です。前の形を使えないのかを常に念頭に置きましょう。
まとめ
数学的帰納法は、「初期条件の確認」と「帰納段階の確認」の2つのステップで構成される非常に有用な証明手法です。
大学入試でもよく出題されるテーマであり、数列の和や積、また不等式の証明などに頻出です。
数学的帰納法を正確に理解し、問題ごとにその手順をしっかりと押さえ、論理的な思考力を鍛えていきましょう。
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