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子どもが「若者言葉」を使い出したらどう正す?
お子さんの言葉遣いが気になる親御さんも多いのではないでしょうか。突然、【イキる】【ジワる】【それな】【りょ】と言われ、戸惑った方もいるでしょう。いわゆる「若者言葉」を使い始めたのかもしれません。
我が子の若者言葉は正すべきなのでしょうか、それとも本人に任せるべきなのでしょうか? 今回は若者言葉についての理解を深めながら、お子さんに言葉遣いを教えるポイントを解説していきます。
一時的な流行だけでなく常用化する「若者言葉」もある
一言で若者言葉といっても、いろいろな種類があります。若者が年をとってからも使用するかと後の世代の若者も使用するかの2つの軸から、以下のとおり4つの種類に若者言葉は分類されます。
※ライターが作成
若者言葉として抵抗をいだきやすいのは「一時的流行語」ではないでしょうか。【バッチグー】や【チョベリバ】と聞いて、懐かしさを感じる方もいると思いますが、それらが一時的流行語に該当します。新しいものが生まれては廃れを繰り返しています(表の左上)。
一方、一時的流行語の対角(右下)にある、年をとってからも使うかつ後の世代も使う若者言葉は、「言語変化」として捉えられる点で一時的流行語とは大きく違います。最近でいえば「ら抜き言葉」が注目されていますが、【新幹線】も元々は造語であり若者言葉として分類されています。新幹線のように若者言葉から常用語になるケースもあるため、若者言葉の全てが一過性の乱れた悪いものではないことを理解しましょう。
清少納言の時代からも若者言葉には乱れを感じてきた
若者の言葉遣いが荒いと感じている方もいるかもしれません。常用語になっていくものが含まれると分かっても、聞きなれない言葉は気になるものです。実は、若者の言葉遣いに対してネガティブなイメージを持つ現象は、古くからあったのだそうです。今からおよそ1,000年前、清少納言により執筆された『枕草子』の中ですでに、当時の若者の言葉の乱れを指摘する記述が見られたと言われています。
いつの時代も大人の世代は若者の言葉遣いの乱れを感じてきたのです。昨今の親世代も同じ。若者言葉や言葉の乱れは普遍的にあるものですから、心配し過ぎる必要もありません。
子どもの「言葉遣い」を指導する際の3つのポイント
親御さんからお子さんに言葉遣いを教えるにあたって、どのような点を注意すべきでしょうか? 3つのポイントに絞って解説していきます。
●相手を傷つける言葉は指摘する
若者言葉には、相手を侮辱したり攻撃したりする言葉も含まれます。また、お子さんが幼いほど侮辱的、攻撃的な強い言葉を使いたがる傾向もあります。たとえば【ウザい】【キショい】【キモい】など。相手を傷つけたり、差別したりする言葉は「使ってはいけない言葉」として指摘し、直す必要があります。使い方を間違えると相手を傷つけてしまう危険性をお子さんに説明してあげましょう。
●語彙力の低下につながる言葉遣いには注意する
ここに当てはまる代表例は【ヤバい】でしょう。ヤバいは、元々あった【大変だ】のほかに、【良い】【美味しい】【楽しい】【美しい】などの意味でも使われるようになってきています。もし、ヤバいの一言でなんでも片付けてしまうクセがお子さんについてしまうと、語彙力の低下を招く恐れがあります。そのため、このような言葉を頻用し始めたら、具体的にどうヤバいのか・ほかの言葉で言うとどういう意味なのかを問いかけてみるのもいいでしょう。なるべく多くの言葉を使うように軌道修正してあげてください。
●TPOをわきまえることを意識させる
言葉遣いは、どこで誰に対して使うかによっても変わるものです。子供達同士では使っていて楽しい若者言葉も、世代の違う人が聞けば言っている内容が分からないだけでなく、耳障りであることさえあります。そのため、若者言葉を使う際はTPOをわきまえて用いることも大事と言えるでしょう。年齢によっては、時と場合により、言葉遣いを意識的に変える必要があることを知らないお子さんも多いです。若者言葉を使うタイミングも含め、どういう場面で言葉遣いを意識する必要があるかを具体的に教えてあげましょう。
周りの大人が自分たちの言葉遣いに注意する
そもそも、子どもは周りの大人たちの言葉遣いをマネしたがります。幼いお子さんほど、言葉の持つ意味を理解しないままに、周囲の人々が反応しやすい刺激的な言葉を使ってしまうものです。親御さんも含めて周りの大人が自分たちの言葉遣いに気をつけていくのが最優先です。もしお子さんたちの言葉遣いが気になるようであれば、それを注意する前にまずは自分たちの言葉遣いを振り返ってみることも大切でしょう。
監修:佐藤めぐみ
ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰 イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。