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2020年度から実施予定の「大学入学共通テスト」 センター試験からここが変わる
1990年に「共通一次試験」から現行の「大学入試センター試験」へと変更になって以来、30年ぶりに大学入試の形が変わります。現行のセンター試験に代わって、2020年度より新たに「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」が実施される予定です。センター試験と比較してどのような点が変わるのか、対策の心得とともにまとめてみましょう。
大学入学共通テストにより大きく変わる点
まずは、2019年5月現在で明らかにされている実施方法を見てみましょう。
●「英語」で民間の資格や検定試験の結果を利用
TOEICや英検などの民間資格や検定試験の結果が大学入試に利用できる仕組みがスタートします。2023年度までは、他の科目と同様に共通テストでも英語の試験が実施される予定です。各大学は、民間の資格や検定試験の結果を出願資格に設定したり、共通テストへの加点材料として使ったりします。2024年度からは、民間資格・検定の結果を利用する形に完全移行の予定です。つまり、共通テストでは「英語」の試験がなくなります。
●「国語」「数学I」「数学I・A」にて記述式問題が出題
「国語」「数学I」「数学I・A」の科目でそれぞれ3問ずつ記述式問題が出される予定です。記述式問題の導入に伴って試験時間も国語が80分から100分に、数学2科目が60分から70分に長くなります。さらに、2024年度からは理科、地歴・公民でも記述式問題の出題が検討されている段階です。
●「思考力」「判断力」「表現力」が問われる内容に
「国語」「数学I」「数学I・A」以外の科目は、出題形式や試験時間は変わりません。ただし、従来の「知識」「技能」に加えて、「思考力」「判断力」「表現力」も問われる出題内容へと変化します。知識を頭に詰め込むだけではなく、知識を使ってロジカルに考えて判断して答える問題が多く出されるのです。
プレテストやウェブサイトから情報収集して、大学入学共通テストの準備を進めよう
受験を控えたみなさんは、どのように準備をすれば良いのでしょうか。まずは、「試行調査(プレテスト)」の研究をしましょう。大学入試センターは、これまでプレテストを2回開催しており、ウェブサイトで試験問題や模範解答を公開しています。プレテストは共通テストに最も近い内容の試験です。どのように問題が、どのような形で出題されているのかを研究してください。「問題のねらい、主に問いたい資質・能力及び小問正答率等」という資料も目を通しておくと、出題側の狙いが考察できてよいでしょう。
また、情報収集も大事です。大手予備校は、共通テストに関する説明会や模擬試験を開催しています。予備校の生徒以外も参加できるものが多いので、可能な限り受験しましょう。加えて、共通テストについて分析・解説されたウェブコンテンツも各予備校から公開されていますので、一通りチェックして参考にしましょう。
出願資格の確認など「英語」は志望校の動向をリサーチ
2023年度までの共通テストを受験予定のみなさんは英語に関して注意が必要です。自分が志望する大学が民間資格・検定の結果をどのように扱うのかを前もって調べて対応しなければなりません。2020年度の共通テストで利用可能となる民間資格・検定は下記のとおりです。
※ライターが作成
資格や検定の結果の扱い方は、大学によって異なります。たとえば、東京大学は2020年度に実施する「2021 年度東京大学一般入試」において「CEFRの対照表でA2レベル以上に相当」する民間資格・検定合格の実績を有することを出願資格に加えました。
「CEFR(Common European Framework of Reference/セファール)」とは、外国語の習熟度を測るために用いられる、ヨーロッパ発祥の国際基準です。このCEFRで、東京大学の出願資格として定められている「A2レベル以上に相当」する民間資格はどれくらいなのでしょう。正解は、実用英語技能検定(英検)でいえば2級以上か準2級の試験で1,700点以上のスコア、TOEICのスコアでいえば625点以上です。
国立大学は、「CEFRの対照表でA2レベル以上に相当」を出願資格とする大学が多くなります。しかし、共通テストへの加点材料として使うだけの大学もあるなど、利用方法は各大学でバラバラです。自分が受験予定の大学が発信する入試情報もこまめにチェックしておきましょう。
誰も受けたことがない試験だからこそ、情報収集で差がつく
大学入学共通テストはまだ誰も経験していない新しい試験です。大学入試センターなどの関連機関が公にしている情報を分析して積極的に備えを進めていきましょう。塾・予備校については触れましたが、学校の先生や他の友達も自分の知らない情報を持っているかもしれません。机についての勉強だけでなく、周りの人とコミュニケーションをとりながら情報を集めるようにしてください。
監修:教育ジャーナリスト マザークエスト代表/中曽根陽子
教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。 オフィシャルサイトhttp://www.waiwainet.com/