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親が笑顔でいるだけで気が楽!? 受験勉強をがんばる子どもとの会話で親が気をつけたいポイント
受験勉強で子どもがピリピリしていて話しかけられない。そんな居心地の悪さをあなたは感じているところかもしれません。とくに高校受験・大学受験ともなればどうお子さんをサポートするのが望ましいのか迷っている方もいるでしょう。がんばっているお子さんにどんな声をかけてあげればいいのか、逆にどういった言葉をかけるべきでないのか。まとめていきましょう。
原因帰属を理解して、褒め上手になろう
親御さんが積極的に勉教を教えるような場面は基本的にないと思ってもよいでしょう。勉強は学校や塾の先生に習うもので、親に強化してもらおうと考えている子どもは稀といえます。そっと見守っていて、お子さんの方から話を振られたら温かく前向きな声かけをしていきましょう。
そんなときに役立つのが、心理学者・ワイナーの原因帰属理論です。原因帰属とは、行動の成功や失敗の原因を何に紐づけているかに着目する考え方です。たとえば、テストでいい点を取ったとき、「自分の能力のおかげだ」とするのか、「問題が簡単だったからだ」とするのかなど。原因をどこに定めるかでやる気の高低が変わるとされ、ワイナーの理論では下のように考えられています。
■やる気が高い人:失敗した原因を努力不足や運に、成功できた理由を努力や能力に帰属させる傾向がみられる
■やる気が低い人:失敗した原因を自分の能力に、成功できた理由を課題の難易度や運に帰属させる傾向がみられる
成功したのに「運が良かったんだ」とお子さんが言っていたら、「あなたがちゃんと努力したからだとママは思うよ」。反対にミスをして、「どうぜぼくは頭が悪い」と言っていたら、「ママはそうは思わないよ。勉強方法を見直してみるのはどう?」。このようにやる気が高い子バージョンの帰属でほめたり、励ましたりするといい声かけがしやすくなります。
「がんばれ」や「だから言ったでしょ」など、NGな声かけ集
次にご紹介するのは、NGな声かけです。下のような声かけをしていないかチェックしてみてください。
■催促:「がんばれ」「早く勉強しなさい」など
「がんばれ」と言われるとカチンとくるのに、「がんばってるね」と言われるとやる気になる子は多いものです。お子さんはすでにがんばっています。急かしてもやる気を損ねるだけですので、今すでにしている努力を労っていきましょう。
■金銭:「私立は学費が高い」「受験料が無駄になるかも」など
小言でお金の話を持ち出すと、応援されていないのかと感じる子どももいるでしょう。塾や受験する学校を決める際には、もちろんお金との相談は必須です。しかしいったん決めたら、勉強だけに集中できる環境を作りましょう。
■脅迫:「このままだと受からない」「やる気がないならやめろ」など
受験は親にもプレッシャーがかかりますが、感情をそのまま子どもにぶつけてしまうのはNGです。気持ちを鎮めてから、冷静に当人の意思や状況を確かめましょう。
■マウンティング:「なんでこんなのもできないの?」「だからいったでしょ」など
大人なら分かっても、子どもに分からない問題があって当然です。見下したような発言は子どものやる気を削ぎ、自尊心をも傷つけます。うっかり出がちな言葉でもあるので気をつけていきましょう。
■比較:「隣の○○ちゃんより成績が低い」「私の頃は…」など
親御さんが受験した頃とは受験制度や出題傾向も変わっています。また兄弟や友達と比べても、逆にやる気を損ねるだけです。比較をする際は、お子さん自身の過去と今を比べ、「昨日よりできているよ」と前進をほめる形で用いましょう。
生活面をバックアップするのが親の仕事
受験期の子どもに親ができるのは生活面のバックアップです。大学受験の場合はとくに夜中遅くまで勉強する子も多いため、寝られるときは寝かせて、朝遅刻しないように起こしてあげるぐらいの気遣いでも子どもは助かります。睡眠時間を確保するのは、質のいい勉強時間の確保につながると思ってみましょう。
また親が笑顔でいるだけで安心できると感じる子どももいます。言葉遣いだけでなく、明るくゆったりした雰囲気は子どもにも作用します。「受験成功のため」と親がよかれと思ってやっていることが、逆に子どものストレス源になってしまっていないか改めて考えてみましょう。
なにかしてほしいと子どもの方からアプローチがくるまで親は辛抱するのが受験でできる最大の手伝いと思ってもいいかもしれません。言葉や雰囲気でお子さんを応援している“味方”なんだと伝えて、肯定してあげましょう。
監修:佐藤めぐみ
ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰 イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。