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必ず合格できるはウソ?「指定校推薦」で受かるための面接対策
高校の評定に自信のある人は「指定校推薦」を受けてみてはいかがでしょうか。大学入試制度中でも合格確率の高い入試制度で、学校によっては面接だけで合格できる場合もあります。どういった制度、どういった準備を進めればいいのかまとめて紹介します。
高校と大学の信頼関係で成り立つ指定校推薦
大学受験において、過去の進学実績をふまえて大学が指定校と認定した高校に対し、一定数の推薦枠を設ける入試制度を指定校推薦といいます。高校と大学の信頼関係によって成り立つ仕組みで、推薦をもらえれば特別な場合を除き合格することができます。大学側からすれば優秀な学生を確保しつつ、定員割れのリスクヘッジになる利点があります。
また信頼関係に関わるため、高校側は推薦する生徒を真剣に選びます。出願したいとあなたが思ったとしても、成績(とくに1年生から3年生までの評定)や生活態度を基準に校内選考を通過しないと出願はできません。同じ指定校推薦枠に成績が同じぐらいの他の希望者がいる場合は出席日数や部活動・課外活動の参加なども加味して選考されます。また、推薦を受けて受験する性質上、専願(合格した場合の入学を確約する)となり、併願はできません。
指定校推薦に似たような「公募推薦」「一般推薦」「特別推薦」とは?
指定校推薦に似たような入試制度がいくつかあります。たとえば「公募推薦」が挙げられるでしょう。指定校推薦は校内選考を通過すれば出願できますが、公募推薦は大学の定める条件に合致しているのに加えて、高校からの推薦をもらう必要があります(公募推薦も大学ごとに推薦枠が制限されている場合があり、もし推薦枠以上の出願者がいれば校内選考が行われます)。
さらに公募推薦は「一般推薦」と「特別推薦」の2パターンに分けられます。学業面での成績や生活態度などをもとに選考を受けるのが一般推薦で、部活動などの課外活動での成績を重要視するのが特別推薦です。そして評定平均の基準が一般推薦では原則設けられます。一般推薦よりは低く設定されるものの、特別推薦でも基準が設けられる場合はあるので受験校の規定を確認してください。
そして2020年度から名称が変わったのも覚えておきましょう。推薦入試(公募・指定校)は「学校推薦型選抜」、AO入試は「総合型選抜」、一般入試は「一般選抜」に変更されました。名前だけでなく、推薦・AO入試では提出が義務づけられていた調査書も評定重視だったところから部活動やそのほかの課外活動について細かく書くようなフォーマットに変更されます。また志望する学部の基礎にあたる教科の履修状況や成績をチェックする大学も増えてくると考えられるため、科目や文系理系の選択が重要になるでしょう。
指定校推薦の入試は面接がメイン
推薦入試のなかでも、とくに指定校推薦は面接が合否に大きく影響します。学力試験や小論文を課す大学もありますが、面接だけの場合もあるほどで、高校の推薦があるからこそ、学力よりも人間性が見られる試験といってもいいかもしれません。
受験を検討している大学での学力試験・小論文試験の有無と、合わせて面接の方法も確認しておきましょう。グループ討論なのか個人面接なのかで準備する内容が変わってきます。
自己分析から指定校推薦の面接対策を始めよう
面接試験の準備は公募推薦でも指定校推薦でも変わりません。指定校推薦の校内選考を通過できたら、自己分析をするところからスタートしましょう。市販の参考書を利用してもかまいませんので、下のような内容をノートに書き出してみてください。
【自己紹介】あなたの性格
【志望理由】なぜその大学・学部に入りたいのか、入学後なにがやりたいのか
【将来のビジョン】その大学・学部での経験を踏まえて将来どうなりたいか など
【過去の出来事】高校生活でがんばったこと、これまで最も苦労したこと
大学側はスーパースターばかりを望んでいるわけではありません。部活の全国大会で優勝した・全国模試で全国1位になったなど、高校時代に華やかな実績がある人ばかりではないでしょう。あなたが興味を持って切磋琢磨したものが何なのか、そしてそれにあなたがどのように考えて取り組んだのかを大学側は知りたいのです。
ノートに書き出すと、記憶のデータが整理され、情報としてブラッシュアップできます。誰かに見せるわけでもないので、恥ずかしがらずに具体的に“自分”を掘り下げてみましょう。面接で自分をアピールして売り込むためには、売り込む自分のことがしっかり分析できていないと始まりません。自分の良さ・強み・得意と弱み・苦手を把握するために、成功体験だけでなく、失敗談も隠さずに書いてください。あらゆる情報を書き出して整理できておけば、面接で何を聞かれても大丈夫と自信につながるでしょう。面接が不安である理由の中には「自分」を理解しきれていないこともあるのです。
原稿作りやロールプレイングなど面接に臨む基本
指定校推薦は毎年一定数の枠で合格者がいます。そのため、高校の進路指導室などに過去の面接内容についての情報がないかを確認してみてください。過去に聞かれた質問から大学側が聞きたい「意図」をくみ取り、受け答えを考えておくようにしましょう。本番前にどれだけ自分の考えを言葉にできるか、が勝負を決めます。自分で考えた受け答えを丸暗記せず、同じ内容を違った言葉で話せるようになることが必要です。
また面接試験の基本として印象作りにもこだわってください。制服などは自分のサイズに合ったものをきれいに着られているでしょうか。髪の毛や爪が伸びていたり、服や靴に汚れがついていたりしたらすぐにでも改善してください。
さらに時間をかけて、言葉遣いや姿勢・表情を矯正する必要がある人もいるでしょう。敬語を使い慣れていない人は、普段から敬語を使う練習をしてください。くわえてロールプレイング(模擬面接)も行いましょう。練習しておかないと、緊張して目が泳いだり汗をかいたりして言いたいことが上手く言えずに終わってしまうかもしれません。先生や親だけでなく、できるだけ多くの人に見てもらうのが面接を上達する近道です。
志望理由以外によく聞かれる面接の質問例
自己分析のところでいくつか紹介しましたが、事前に考えておいた方がいい内容、つまり面接で聞かれる内容はある程度絞られます。下に例を挙げましたので自己分析をするときに一通り考えて、原稿まで作り込んでみてください。
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・学校生活で印象に残っていること
・学校生活、部活動で学んだこと
・休日の過ごし方
・趣味について
・最近のニュース・新聞で気になること
・得意(苦手)教科
・苦手教科を克服するためにしていること
・将来の夢
・自己PR
・長所と短所
・推薦入試を利用した理由
・何か質問はあるか(最後に) など
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例を見ていただければ分かるかもしれませんが、指定校推薦の面接では突拍子もない質問はあまりされません。高校との信頼関係が前提の試験であるため、変な質問をして学生の機転を試すような必要がないからです。リラックスしてありのままの自分を、具体的に表現するのを意識しましょう。
指定校推薦は落ちない……とは限らない
合格率が高い指定校推薦でも落ちる場合があります。簡単な話ですが、受験しなかった(面接を受けなかった)生徒は不合格です。病欠は最も考えうる受験辞退の理由ですので、体調管理を直前まで意識しましょう。
また手続きの不備で足元をすくわれる可能性もあります。願書出願はもちろん、受験料・入学金などの払込みに漏れがないか親御さんと確認しながら丁寧に進めましょう。ほかにも面接の受け答えが不十分だったり、小論文の解答が不的確な場合、また警察沙汰になったり、高校を卒業できなかったりと当人の問題で不合格になる可能性は十分にあります。
さらに大学側の判断で不合格になる場合もあります。たとえば芸術系の学校の場合は、面接官である先生の主観による部分も大きいため、相性が悪いと採点に響く可能性があるのです。また医療系は生命にかかわる仕事に直結する学部・学科のため、人間性が伴わないと判断されると合格は難しいでしょう。ほかにも学部全体で募集したが特定の学科・コースに希望が集中して枠数以上になった場合などが不合格になるケースとして挙げられるでしょう。
指定校推薦で不合格でも、一般入試で再受験OK
指定校推薦について情報をまとめてきましたが、最後にもし落ちてしまったらどうすればいいのかを紹介します。結論、一般選抜を受ければいいのです。指定校推薦の結果は秋ごろには出ます。公募推薦や総合型選抜をしている大学は限られますが、一般選抜は年明けからのため、まだ巻き返しは可能です。
もちろん指定校推薦で不合格だった大学・学部を再受験してもかまいません。指定校推薦でも一般でも、合格できれば結果は同じです。ただ一般選抜での入学に切り替えた時点で、ほかの学校を滑り止めとして検討してもいいかもしれません。同じ科目で受験できる大学はほかにもあります。焦ってしまう気持ちや志望校に固執する気持ちは分かりますが、再スタートを切るつもりで改めて受験計画を練り直すのも忘れないでください。
監修:株式会社HADO/代表取締役 秋田大樹
法政大学経営学部卒。大学時代に大手学習塾でAO推薦入試講座を担当後、在学中に、集客から指導まで全てオンラインで推薦入試対策を専門に行う夢ゼミを創業。地方の高校生と保護者を中心に指導し、2年連続第一志望合格率70%以上、顧客満足100%を持続中。夢ゼミが運営する、AO推薦入試専門の学習サイト「推薦入試の教科書」は年間50万人が訪れ、年間2500人が受験相談に訪れる。