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高校入試の「併願」とはどのような制度?併願校受験について解説
あなたは高校を2校以上受ける予定でしょうか? どうしても行きたい憧れの志望校だけでなく、もし志望校に受からなかったときのために「併願校」も考えている人がほとんどかもしれません。2校以上の学校を受験するのを「併願」といいますが、事前に申請すれば優遇が受けられる場合があるのです。どのような場合なのか、併願の基本情報と合わせてまとめていきます。
併願とは複数の学校に出願すること
「併願」とは複数の学校に出願することを指します。たとえば公立校を志望校として考えている人が、不合格だったときの保険として私立校を受験するようなケースが併願に当たります。私立校の推薦型選抜は1月上旬〜2月上旬頃、一般選抜は1月下旬〜2月中旬頃に行われるため、2月上旬〜中旬頃で第1回・前期が行われる公立校を志望校とする人には先にどこかの私立校に合格できていれば第一志望の公立校に臨む際のプレッシャーを軽くできる利点があるのです。ほかにも私立校が第一志望の場合や公立校のあとに私立校を受ける場合など、併願のパターンは何通りもあります。
以前は「滑り止め」と呼ばれていましたが、昨今では「併願校」と呼ぶのがポピュラーになりました。また受験には一般選抜(一般入試)と推薦型選抜(推薦入試)がありますが、私立高校では推薦でも併願が可能な学校があります。中学3年の11月ごろには2学期の期末テスト(後期の中間テスト)が終わって内申点が仮で出されます。それをもとにして志望校が併願推薦の出願条件として設けている基準に適っているかなどを三者面談で話し合いましょう。
単願・専願と併願の違いによって査定基準が変わる場合もある
そして第一志望だけしか受けない場合を「単願」(あるいは「専願」)と呼びます。生徒側が意図的に一校しか受けない場合もありますが、学校側が合格を確約したり試験の得点を上乗せ査定したりと特典をつけて当該校しか受験できない場合の両方を指す言葉です。
併願と同じく、単願も一般選抜と推薦型選抜があります。他校を受けられるか否か以外では、入学確率の高い単願に比べて併願は査定が厳しくなります。たとえば帝京高等学校(東京都)の特進コースでは、単願推薦の場合は1学期(もしくは前期)において5教科の内申点の合計が20なのに対し、併願(および併願優遇[説明は後述])は22と高めになっています。高校ごとで評価方法は異なるため、志望校の情報をチェックしてみましょう。
併願校受験の準備は中三の夏休みから!?
単願推薦など制限がないかぎり、とくに一般選抜での進学を考えている人は志望校とは別で併願校を検討するのがメジャーでしょう。併願校を決めるに当たって、押さえておきたい基本情報をまとめてみました。
●併願校を決める時期
仮の内申点が出る11月ごろが一つのタイミングです。先述のとおり、内申点が出てすぐぐらいに三者面談があり、年明けの入試でどこの学校を受けるのか・どのような準備を進めていくのかを先生・保護者・生徒で話し合います。
ただ、後述するような優遇制度を受けたい場合は夏休みから動き出す必要があります。それは優遇制度を受けるための条件として夏休みに開催される学校説明会・事前相談会への参加が必須の場合があるからです。
●併願校の選び方
絶対的な正解があるわけではありませんが、心と頭で考えてみる点が違うのは言えるでしょう。頭で考えるのはあなたと高校がマッチしているかです。お金の問題もあり、親御さんを交えて検討するのが良いでしょう。たとえば下のような点を一緒に考えてみてください。
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・あなたの成績や実力から考えて合格できる学校か
・あなたの想定している進路選択に適う実績があるか(進学・就職で実績があるか)
・あなたが興味をもっている活動ができるか(勉強に集中できるか・やりたい部活動があるか・行事が開催されているか)
・毎日の通学が無理なく行えるか(通学時間が長すぎないか・交通網があるか・交通費が高すぎないか・学費が問題なく支払えるか)
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そして心で考えるのは“行きたいか・行きたくないか”です。頭で考える点がすべて問題なかったとしても、行きたいと心から思えなければ高校3年間を過ごす学校として相応しくないのではないでしょうか。部活動が強い高校に他県から越境してまで進学してくる生徒も珍しくはありません。最後は進学するあなたの気持ちなのです。第一志望ばかりに気を取られて併願校まで気が回らっていないかもしれませんが、併願校も気持ちよく通えるように選ぶ際から心と頭で考えてみてください。
またこれらは第一志望を選ぶ際にも当てはまる考え方かもしれません。併願校を選ぶ上でとくに大事なのは、「あなたの成績や実力から考えて合格できる学校か」といえるでしょう。併願校は受からなければ意味がないといっても良いかもしれません。本当に行くべきは第一志望の高校で、併願校はあくまで滑り止めです。多くの学校を受験するのはお金がかかり振り回せて疲弊してしまいます。心と頭を使い、第一志望も合わせて検討しましょう。
東京都の私立校では併願受験での優遇措置がある高校も
他県への越境受験の話をしましたが、受験は地域ごとでの違いがあるのを忘れてはいけません。たとえば都内近郊の人は「併願優遇」について知っておくといいでしょう。併願優遇の制度がある学校は、第一志望が不合格の場合に同校に入学するのを確約すれば査定で有利になる仕組みです。単願の場合も同じく、合格したら必ず入学するのを確約することで優遇を受ける「単願優遇」もあります。
得点を加算するのを先述しましたが、優遇の特典には内申点の査定と面接だけで合格が概ね保証される場合もあります。基準とした内申点の点数を上回るのが条件で、かりに一般選抜の受験が必須だったとしても形式だけで査定には響かないケースもあるといわれています。
併願優遇を受ける場合、中学校から高校に対して制度を利用したい旨を「事前相談」する必要があります。そのため制度を利用したい場合は、11月ごろの三者面談で先生に働きかけなければなりません。また夏休み時期に行われる学校説明会・個別相談会への参加が必須条件になっている場合や、かりに内申点が基準を満たしていなかったとしても高校に出向いて担当の先生と直接話ができれば優遇での出願が認められるケースもあるようです。
むしろ埼玉県では生徒から高校に直接相談するのがルールで、中学校の先生との三者面談前には終えておく必要があります。また千葉県では、前期・後期で入試が行われますが、前期で募集枠が埋まって後期は実施しない高校も多いです。このようにお住まいの地域・学校ごとで違いがあるため、優遇制度を使って併願しようと考えている人は早めに情報収集をしましょう。
併願校受験で気になることQ&A
併願について理解できた面とよく分からない面があるでしょう。地域・学校ごとで違いがあるため全てを細かく説明するのはできませんが、よく分からないと思われる点を3つ挙げてみました。ほかにも確認した点があれば中学校の先生に聞いたりネットで情報を探したりしてみましょう。
■併願優遇をするなら中学3年生の夏休みから動けばいいのか?
説明したとおり、本格的な動き出しは中学3年生の夏休みからですが、併願優遇での査定ポイントである内申点を上げるのは中学1年生からの積み重ねになります。地域・学校での違いがあるため、中学3年時の分だけで出願資格が得られる場合もありますが、併願優遇の制度を知ったときには内申点が悪くて手遅れの人もいるでしょう。早め早めに動いてください。
■併願優遇でも落ちる場合があるか?
あります。合格がほぼ保証されると上では書きましたが、面接に来なかったり一般選抜のテスト用紙を白紙で出したりと態度が悪ければ不合格になります。
■入学金の支払いタイミングは?
地域・学校ごとでの違いがありますので、事前に必ず確認してください。私立校の場合、第一志望の公立の結果が出るまで入金を待ってくれるケースもあれば、公立の合格発表前に入学金を支払わないと合格が無効になるケースがあります。
自分の受験プランに合わせて単願・併願を検討しよう
併願での高校受験について基本的な情報を今回はまとめました。単願との違いや、優遇制度について新しく知ることができた人もいるでしょう。ただ何度も書いたとおり、細かい条件や制度の仕組みは地域・学校ごとで異なります。併願でなく、単願の人でも優遇される場合があるのも紹介しました。ぜひ自身の受験プランに合わせて情報収集を行ってみてください。