忘れ物や寝坊がサイン!?中学生の子どもが「発達障害」と診断されたら

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忘れ物や寝坊がサイン!?中学生の子どもが「発達障害」と診断されたら

うちの子はダラしない。そう決めつけてお子さんを叱り付けていませんか? もしかしたら「発達障害」が原因で、お子さん自身も苦しんでいるかもしれません。カウンセリングや薬の併用によって症状が緩和する場合もあります。ほかの子どもとの違いに気づいたら発達障害の可能性を疑ってみましょう。

“発達障害”とは脳の成長が生まれつき他の人と異なるために生じる障害

“発達障害”とは脳の成長が生まれつき他の人と異なるために生じる障害

発達障害とは、脳の成長がほかの人と生まれつき異なるために表れる症状です。下で紹介するような種類がありますが、個人差があり同じカテゴリーの人でも症状が大きく異なる場合が珍しくありません。なかには症状が複数のカテゴリーに当てはまる人もいるほどです。

発達障害による突発的な行動がたとえば見られたとしても、単に元気な“子ども”として扱われ、小学生までは許容される部分があります。しかし中学生になれば校則が厳しくなり、人間関係も複雑化します。そのため、発達障害がある生徒は周囲から浮いてしまい、いじめられたり不登校につながったりするケースがあるのです。

発達障害の代表的な3タイプ

発達障害の代表的な3タイプ

発達障害が大きく3つの種類に分けられます。それぞれ特徴を紹介します。

■ADHD(注意欠陥多動性障害)
感情をコントロールするのが苦手な人はADHDかもしれません。「多動性・衝動性」と「注意力不足・集中力不足」がADHDの人には当てはまります。だまって座っていられない/常に手足をモジモジさせている/すぐケンカをする(多動性・衝動性)、忘れ物が多い/ケアレスミスをよくする(注意力・集中力不足)……などの行動が見られるお子さんはADHDが疑えるでしょう。とくに思春期のADHDのお子さんは、睡眠リズムが乱れやすく、朝寝坊や遅刻が多いのも特徴です。

■ASD(自閉症スペクトラム症、アスペルガー症候群)
ASDの人は、対人関係がドライで友達が少なかったり、興味のあるものごとに対して強いこだわりをみせたりします。知能が高い人もいて、自分の努力で集団生活に適応してしまい障害が表面化していない場合もあります。一人遊びばかりしていたり、“空気が読めない”言動が目立ったりする場合はASDを疑ってみてもよいでしょう。

■LD(学習障害)
読む・書く・話す・計算するなど、特定の分野が苦手な場合を指してLDと呼びます。LDのタイプを2種類に大別すると、文字の読み書きが苦手な「読字・書字障害」と数をカウントしたり覚えたりするのが苦手な「算数障害」に分けられます。LDの人も知的な発達に問題がない場合がほとんどで、むしろ他の子どもたちと比べても優れているぐらいの能力を発揮しているケースもよく見られます。

中学生の子どもが発達障害と判明したとき、保護者はどうすればいい?

中学生の子どもが発達障害と判明したとき、保護者はどうすればいい?

発達障害を抱えるお子さんは、いじめや仲間外れにあっていたらもちろんですが、それ以前に親御さんの理解が得られずに苦しんでいるかもしれません。発達障害が明らかになったら下のような対応を親御さんは心がけてみましょう。

■発達障害を理解して受け入れる
発達障害がどういうものか理解するところから始めましょう。お子さんの言動が障害によるものだと理解できれば、責めたりせず、やさしくお子さんと接してあげられるようになるはずです。いまでは書籍やインターネットからでも発達障害の情報を得られるようになりました。今後の対応を検討するために、まずは親御さん自身が調べてお子さんの問題点を把握し、発達障害を受け入れていきましょう。

■誰かに相談して、頼れる機関・人をみつける
つぎは学校のスクールカウンセラーや児童相談所に相談してみてください。親御さんだけで悩まずに周りの助けを得ながらお子さんのサポートをしていきましょう。そこから専門の医療機関(児童精神科)を紹介してもらってもいいかもしれません。紹介窓口として、地域に設けられた保健所や支援センターを頼る手もあります。病院によっては、小児科であっても精神疾患や発達障害を扱っていない場合があるため、紹介で行くか電話で事前確認してから行くと安心でしょう。
病院では幼少期からの症状や問題行動などについて細かく聞き取りが行われ、そこから投薬によって治療が開始されます。先天的な障害であったとしても、社会で安定したスキル(食事のマナー・整理整頓・異性との距離感など)を身につけるトレーニングを行うことを前提としたカウンセリングや、とくにADHDにおける衝動性・多動性・不注意の軽減には薬物療法が効果的にはたらくこともあります。

■子どもの特徴を理解する
先述のとおり、発達障害は個人差が大きいです。そのため情報を集めて理解を進めるのと同時に、知識に振り回されすぎずにお子さんとしっかり向き合って個性や特徴を理解してあげるのを忘れないでください。子どもの苦手なことが分かれば対策も打ちやすく、得意なことが分かればそこを伸ばして長所にしてあげればよいのです。
お子さんがなにか成功したときがチャンスで、見逃さずにほめてあげてください。少しずつでも自信がつけばお子さんは努力し続けられます。もしくは苦手な面も得意な面で補えると分かればお子さんの肯定感や自信につながるでしょう。

子どもが発達障害かもしれないと思ったときに保護者がしてはいけないこと

子どもが発達障害かもしれないと思ったときに保護者がしてはいけないこと

反対に、お子さんが発達障害ではないかと思ったとき(もしくは発達障害だと明らかになったとき)に親御さんがしてはいけないのはどういった言動でしょうか。

■気付かないフリをする
お子さんの異変に最も気付きやすいのは親御さんでしょう。過保護になりすぎるのは問題ですが、忘れ物や遅刻が多かったりしても“大きな問題になっているわけではないか”などと放置してはいないでしょうか。もしくは“ダラしない”だけだと決めつけ、お子さんを責めているかもしれません。障害はお子さんの責任ではなく、お子さんも苦しんでいるはずです。早く気づいて対応してあげてください。

■自己判断で対処する
仮に発達障害に気づけたとしても、自己流で対処するとお子さんの悩みを悪化させてしまうかもしれません。ショック療法という言葉がありますが、苦手なものにあえて直面させることで慣れによって問題を解決させようと考えてはいないでしょうか。障害のある人にとって苦手なものは、わがままや身勝手ではなく、どうしようもない苦痛なのです。発達障害を認めるのは難しいかもしれませんが、お子さんのためにも親御さんは冷静に現状を捉えて専門の医師や機関の指示をあおぐようにしましょう。

■他の子どもと比較する
子どもを比べないのはどんな子育てにも言えるセオリーかもしれません。とくに発達障害のお子さんは周りと比べて遅れたり目立ったりします。親御さんがイライラしたり“自分の育て方が悪かった”と滅入ったりしかねません。だからこそ発達障害のお子さんをもつ親御さんこそ、友達やほかの兄弟姉妹と比べたりせずに、お子さん自身と向き合って受け入れてあげるのを心がけてみてください。

専門家と一緒に発達障害の治療に取り組もう

専門家と一緒に発達障害の治療に取り組もう

発達障害だからといって、お子さん当人が悪いわけでも、今までの育ってきた環境や親御さんの育て方が悪いわけでもありません。発達障害があったとしても、大学に進学して立派に働いて活躍している人は多くいます。専門家のアドバイスを受けながら、親御さんはお子さんのサポートをしてあげましょう。まずはお子さんと向き合って状況を冷静に判断するところから始めてみてください。

井上智介

監修:井上智介

島根大学を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び2年間の臨床研修を修了する。 その後は、精神科医、産業医の2つの役割を中心に活動している。精神科としては、うつ病、発達障害などを中心にして、全般的に精神科疾患を対応している。産業医としては、毎月30社程度を訪問して、精神科医や健診医の経験もいかして、労災や健康障害の防止の活動している。さらに、全ての国民に医療情報の正しい理解を目標にして個人ブログやSNSを活用するだけでなく、コラムを担当したり、全国で講演したり、精力的に医療情報の発信を続けている。

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