共通テストは私立大学の入試に関係ない?一般選抜との違いやポイントを解説

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共通テストは私立大学の入試に関係ない?一般選抜との違いやポイントを解説

高校生豆知識 2021.08.06

私立大学志望だから共通テストは関係ないと思っていませんか? 私立大学が第一志望であれば、科目数をしぼって傾向に合わせながら対策を進めている人もいるかもしれません。しかし「共通テスト利用」をつかえば、私立大学特有のマニアックな知識を追求しなくとも、対策がしやすい共通テストの受験だけで志望校に合格できる可能性があります。共通テスト利用がどのような制度なのか、私立大学志望の生徒こそチェックしておきましょう。

「共通テスト」とはセンター試験に代わって始まった“大学入試共通テスト”の略称

「共通テスト」とはセンター試験に代わって始まった“大学入試共通テスト”の略称

共通テストとは、大学入試共通テストの略称です。1979年度(“1979年度大学入学者向け”の意味で、実施されたのは1978年度中である1979年1月)から1989年度まで実施された「共通第1次学力試験」、そのあと2020年度までおこなわれた「大学入試センター試験」に続く試験で、国公立大学の一般選抜における第一関門との認識を持っている人も多いのではないでしょうか。

2021年1月に第1回がおこなわれ、2022年で2回目を迎えます。時流にあわせて思考力・判断力・表現力などを評価の際に重視できるように作問や出題形式が見直されました。マーク数が減少して、グラフや地図などの資料を読み取る問題が増えたとの見方もあります。しかし出題形式・回答方法はマーク式のままで、“センター試験とほぼ同じ”との声もあるのが実態です。

共通テストは、3教科以上で18,000円・2教科以下で12,000円の検定料で受験できます。2022年度の日程は、2022年1月15日(土)・16日(日)に実施の予定です。また教科や範囲は下記のようになっています。

「共通テスト」とはセンター試験に代わって始まった“大学入試共通テスト”の略称

私立大学の「共通テスト利用入試」とは

私立大学の「共通テスト利用入試」とは

共通テストの成績を使って私立大学を受験できる入試を「共通テスト利用入試」と呼びます。大学によって制度の運用に違いがあり、共通テストの成績だけで合否が決まる場合や、一次試験にあたる学力考査を実施せずに共通テストの結果で判定して小論文や面接などの二次試験(個別学力検査)に進める場合があります。

また厳密には共通テスト利用の制度ではありませんが、一般選抜で出願しても共通テストの成績と合算して合否が決まる場合など、各大学が共通テストの利用の幅を広げているところです。

もともと「センター利用」と呼ばれた同じような仕組みがありました。試験の名称変更にともなって呼称が変わったのです。制度の内容も基本そのままで、国公立大学志望の学生が“滑り止め”として志望度の低い私立大学に合格すべく出願するケースや私立大学専願でも合格の可能性を大きくするために一般選抜と合わせて出願するケースなどがあります。もちろん複数の大学の併願も可能です。

共通テスト利用のメリット・デメリット

共通テスト利用のメリット・デメリット

一般選抜との違いは主に下記のような点が挙げられます。メリット・デメリットがありますが、チャンスが増えるのは間違いないので迷っているなら出してみても良いかもしれません。

大学ごとの対策が不要(一次試験のみの場合)
先述したとおり、共通テスト利用の成績のみで合否が決まる仕組みを設けている学校・学部があります。そういった学校・学部に共通テスト利用で合格できれば、個別で傾向を分析して対策する必要もありません。人気大学は塾や予備校で対策コースが個別で開設されていますが、すべての学校がカバーされているわけではないため、自分だけで対策をしなければならないケースもあるはずです。共通テストだけで済むなら勉強の難易度が下がる場合もあるでしょう。

受験料が安い
一般選抜とくらべると共通テスト利用は受験料が安く設定してあるケースが多いです。たとえば早稲田大学の2023年度入学者向け入試でも、下記のように共通テスト利用の方が安価になる場合があります。大学・学部を多く受験する人もいるなかで、コストが抑えられるのはありがたいのではないでしょうか。

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●政治経済・法・社会科学:一般選抜35,00円 / 共通テスト利用入試20,000円
●文・文化構想:一般選抜35,00円 / 一般選抜(英語4技能テスト利用方式) 30,000円 / 一般選抜(共通テスト利用方式) 30,000円
●人間科学:一般選抜(文系方式・理系方式)35,000円 / 一般選抜(共通テスト+数学選抜方式)30,000円 / 共通テスト利用入試20,000円
●スポーツ科学:一般選抜(共通テスト+小論文方式)35,000円 / 共通テスト利用入試(共通テストのみ方式)20,000円 / 共通テスト利用方式(競技歴方式)30,000円
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試験科目が多い場合も
国公立大学は受験せずに私立大学だけを志望している生徒のなかには受験科目を絞っている人もいるでしょう。しかし共通テスト利用の場合、同じ大学の同じ学部であっても、共通テストの方は科目数が多い場合があります。先ほど登場した早稲田大学の法学部を例にすると、一般選抜と共通テスト利用では下のように科目が違うのです。志望校の情報を早めにチェックしておきましょう。

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【一般選抜】
●外国語:次のうちから1つを選択 ①英語(コミュニケーション英語Ⅰ、コミュニケーション英語Ⅱ、コミュニケーション英語Ⅲ、英語表現Ⅰ、英語表現Ⅱ) ②ドイツ語 ③フランス語 ④中国語
●国語:国語総合、現代文B、古典B
●地歴・公民または数学:次のうちから1つを選択 ①世界史B ②日本史B ③政治・経済 ④数学(数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学B)
【共通テスト利用】 5教科6科目:必須科目5教科5科目+選択1科目
●国語
●地歴・公民:①世界史B ②日本史B ③地理B ④現代社会 ⑤倫理 ⑥政治・経済 ⑦倫理、政治・経済から1科目
●数学:数学Ⅰ・数学A
●理科:①物理基礎 ②化学基礎 ③生物基礎 ④地学基礎から2科目 または①物理 ②化学 ③生物 ④地学から1科目
●外国語:①英語 ②ドイツ語 ③フランス語 ④中国語から1科目
●選択科目:次のうち1科目選択(ただし必須科目で選択したものを除く)
地歴・公民: ①世界史B ②日本史B ③地理B ④現代社会 ⑤倫理 ⑥政治・経済 ⑦倫理、政治・経済
数学: ①数学Ⅱ・数学B ②簿記・会計 ③情報関係基礎
理科: ①物理基礎 ②化学基礎 ③生物基礎 ④地学基礎から2科目 または①物理 ②化学 ③生物 ④地学から1科目)
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定員が少ない
共通テスト利用の方が一般選抜よりも募集定員が少ない傾向があります。早稲田大学の法学部の場合、一般選抜で350名を募集定員としているのに対し、共通テスト利用では100名しか募集していません。これでも枠としては大きい方で、同じ早稲田大学の政治経済学部政治学科では一般選抜100名なのに共通テスト利用は15名だけです。自身の志望校の募集定員をぜひ確認してみてください。

合格ラインが上がりがち
定員が少ない点から合格ラインが上がるのはイメージできるでしょう。さらに二次試験よりも共通テストは難易度が低く、多くの塾や予備校で対策コースが開かれたり書籍も多く発売されていたりするため多くの生徒が準備万端で臨んできます。くわえて難関大学の受験生にとっては“足切り”の査定に響くため共通テストにも全力で挑んでくるでしょう。つまり滑り止めとして出願してくる国公立大学の志望者との競り合いになる点からも合格ラインが上がらざるをえないのが伺えます。

結果が出る前に出願する必要があるケースが多い
結果がよければ共通テスト利用を使いたいと多くの人が思うでしょう。しかし学校・学部によっては共通テストの事前に出願しておかないと制度が利用できない場合があるのです。もちろん共通テストの結果を利用して事後に出願できる学校・学部もあります。しかし定員が少なかったり、合否の出方にバラつきがあったりと安定しないとの見方がされているケースもあります。利用を考えている場合は、計画的に出願の準備を進めましょう。

共通テスト利用で、変化の多い大学入試を勝ち抜こう

共通テスト利用で、変化の多い大学入試を勝ち抜こう

大学入試では、近年あらゆる変更やトラブルが発生しています。新型コロナウイルス感染症の騒ぎによって学校の授業が思うように進まなかった生徒のために範囲が調整されたり、英検などの外部の試験の結果で受験が可能になったり。共通テストも、記述式の導入が進んだかと思えば延期になったとのニュースを目にした方も多いでしょう。

そういった状況下で受験勉強を進める生徒は大変です。あらゆるリスクを想定しながらも、志望校に近づくための筋道をあなたは模索しているところかもしれません。共通テスト利用は、私立大学特有の個別考査への対応をせずに合格できたり、国公立大学志望者には滑り止めの確保になったりとメリットも多いです。ぜひ興味のある学校で共通テスト利用ができないか、一度調べてみてください。

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