個別指導塾スタンダードのお役立ち情報
英語が年35時間増!中学校の「時間割」はこうやって作られる
どの科目がいつ行われるかがまとめられた「時間割」。先生からもらうだけであなたは気にしたことがないかもしれませんが、決められたルールに則って作られているのです。時間割の作り方を通して各時代での教育観を垣間見ることもできます。時間割はどのようなルールで作られてきたのか、着目してみましょう。
中学校の時間割は学習指導要領をもとに作られる
時間割を作るときのルールとして「学習指導要領」に則っているかがポイントになります。学習指導要領とは、簡単にいうと学校で教わる内容に関するルールです。学習指導要領で授業時間の数も決められおり、その時間を確保するのが時間割の大前提なのです。
そこから使用する教室や教科担当の先生が被らないように、学校行事の日程も考慮しながら、時間割を組み立てていきます。空き時間を作らないのも要点で、時間割を作成する専用ソフトが販売されるぐらい複雑な作業だといわれています。学校・先生ごとで違いはありますが、たとえば時間割の作り方として下のような流れが考えられるでしょう。
-----------------------
①実技教科を決める
体育で使うグラウンド・体育館、美術室、音楽室、技術室、家庭科室などには限りがあります。授業時間数の多い体育から埋めていき、使用教室が被らず、また教科担当が1時間目から最後まで授業を続けることがないように空きを入れながら組んでいきます。
↓
②理科を決める
主要科目のなかでも、実験を行う理科は理科室の利用状況を加味しなければなりません。
↓
③残りの国数英社を決める
-----------------------
ほかにも学年集会や全校集会が入る可能性のある時間帯は、学活やホームルームとして全学年・全クラスで統一して先に設定するという意見もありました。そうすれば調整も簡単になるからです。
中学三年生クラスにおける時間割の一例
これはある公立中学校の三年生クラスで使用されている時間割です(令和2年6月時点)。あなたの学校でもこのような時間割が使われているのではないでしょうか。私立などでは土曜日の午前中にも授業を行なっていたり、朝学習をやっていたりする学校があるかもしれません。
ちなみに月曜日の6時間目にある「裁量」とは、授業の進み具合や行事との兼ね合いによって教師の“裁量”で自由に教科を決められる枠です。「特別活動」(特活)の行事に使われたり、祝日によって授業数が不足した科目の授業が行われたりする枠で、学校によっては「学裁」(学校裁量時間)と呼んでいるかもしれません。
【学年別】中学校の時間割の特徴
上は、文部科学省が平成28年に出した資料『中学校の教育過程に関する基礎資料』(平成28年5月19日付)において「小・中学校の教科等の構成と標準授業時数」の中学校の分として紹介された数字です。
この数字をもとに、1週間単位での授業数の推移を学年別で表したデータを見てみましょう。学年ごとでどのような特徴が挙げられるでしょうか。たとえば学年が上がるについて音楽・美術・技術家庭科の実技教科の時間が減っている点は挙げられるでしょう。また“総合的な学習の時間”(総合)が増えているのも分かるかと思います。
中学3年生時には、総合を特活と合わせて受験のための進路指導や自主勉強時間に充てられたりする例もあるようです。先述の学校では裁量という枠がありましたが、自由度の高い科目を活用して受験の対策や行事を学校ごとで行なっているのです。
昭和から平成までの授業時間の変遷
また時間割を作るときのルールはその時代ごとで変わっています。それはルールである学習指導要領がその時々で改訂されるからです。上に昭和33年分から平成29年分までの学習指導要領に定められた各教科の授業時数をまとめました。比較してどのような違いが見えてくるでしょうか。
たとえば昭和52年分から総授業時数が一旦減り、平成29年分で再び増加しています。いわゆる「ゆとり教育」に向けた動きで、ゆとりの学校生活の実現や学習負担の適正化が図られた時期でした。それが平成20〜21年の改訂によって指導内容の充実と合わせて授業時数が増え、平成29年分からは増加に転じています。
平成10年分と平成29年分を比べると、近年では総合や選択教科が減り、主要5科目と保健体育の授業時間数が増えました。とくに外国語(英語)の増加数が顕著で、1年間あたり35時間、3年間の合計で105時間と群を抜いています。ほかにも日本の歴史や文化についての理解を深めるために、国語と社会(歴史)の授業数が今後は増えるとの声があります。これ以外にも科目の新設や授業時数の増減をチェックしてみてください。
修学旅行や行事の前後でも中学校の時間割は変更されうる
学習指導要領の改訂以外でも時間割が変更される場合はあります。たとえば学校行事の前後は準備や片付けで時間が割かれることがあるでしょう。修学旅行で訪れる先についての事前学習の時間を設けたりします。
また中学3年生では、受験前に進路指導や自主学習の時間を設けると紹介しました。受験直前まで新しい内容を勉強したりはしないため、習った内容を復習する時間に充てるのです。あとは学年が変わるタイミングで時間割が一新されるのは言うまでもないでしょう。
時間割の変化について家庭内でも話してみよう
時間割は先生が作るもので、生徒のあなたは作り方を特に気にしたことはなかったかもしれません。学習指導要領に定められた授業時数の変化について今回紹介しましたが、世の中の状況に応じて教育は変化しており、その変化を時間割からも垣間見ることができました。
親御さんの時代と変わっている点もあります。授業時数は各年代で詳しく表にまとめましたので、それを見ながら昔はどうだったのかなどご家族で話してみてもおもしろいかもしれません。