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部活引退で「燃え尽き症候群」に陥った我が子を救い出すには?
中学3年生の夏。それは子どもたちにとって、ひとつの区切りを迎える季節でもあります。
中学校入学から熱中してきた部活動の引退。すべてが終わった途端、全身の力が抜け、その状態が長く続いてしまうことがあります。いわゆる「燃え尽き症候群」です。
会社をリタイヤした中年の「燃え尽き症候群」は、うつ病や自殺を引き起こしてしまうほど重症に至るケースもあります。よって、軽く見ることはできません。もしも、我が子が「燃え尽き症候群」に陥ってしまった場合、どのようにサポートしてあげればよいのでしょうか?
部活を頑張る優等生は「燃え尽き症候群」予備軍?
まず、「燃え尽き症候群」の仕組みを理解することから始めましょう。
あなたは「依存」と聞いて、どのようなことをイメージしますか?「ギャンブル」「飲酒」「クスリ」など、いわゆる「よくないこと」が思い浮かぶかもしれません。しかし、「依存」は「よくないこと」だけに限りません。「よいこと」にも起こり得ます。例えば、子どもなら「部活」「勉強」です。
「部活」や「勉強」に対して常に努力し結果を求め、寝る間も惜しんで打ち込んでいる場合、本人は充実感を覚えるでしょうし、周囲も好意的な印象を抱くことでしょう。ただ、この状態は危険な側面をはらんでいます。つまり、「部活」「勉強」を頑張りすぎると、知らずうちに「依存」してしまい、何かのきっかけでそれを失うと「燃え尽き症候群」に陥ってしまうのです。
● 朝練や個人練習をすることは当たり前
● 家にいても、部活のことをよく考えている
● 部活が原因でプライベートの人間関係が疎遠になる
● 趣味は部活
● 完璧主義で納得しなければ気が済まない
上記に当てはまるなら、その子どもは「燃え尽き症候群」に陥る可能性が高いといえるため、注意が必要です。
区切りを自覚させ、来るべき新しい世界に目を向けさせる
熱中していた部活を引退し、「部活モード」から「受験モード」へ。それは、とても大きな変化です。それだけに労力を要します。では、どのように切り替えを促したらよいのでしょうか?
思い出を共有する
最後の試合などのビデオ録画があるなら一緒に見ましょう。今まで撮った写真があれば、子どもとチョイスして、小さなアルバムを作るのもいいですね。悔しさや喜び、達成感などの思い出を共有し、区切りを自覚させてあげましょう。その際、注意すべきは「評価しないこと」。ただただ純粋に、親子で部活の思い出を共有してください。
自然に触れ合う
もし、出かけることが可能であるならば、街や人混みの喧騒から離れて自然に触れ合うような時間を作るとよいでしょう。これも区切りを自覚させるための「儀式」のようなものです。
親子で将来について話し合う
部活を通して得たものが必ずあるはずです。技術的なことかもしれませんし、根性といった心のスキルかもしれません。それを子どもに問うてみましょう。そして、その得たものを何に生かすか、一緒に考えてあげてください。せっかく、燃え尽きるほど熱中して得たものを次に生かさない手はありません。これから、どのような道に進んでいくのか、将来について話し合いをしましょう。
そうすれば、部活の引退という節目を迎えた「終わった感」から、来年訪れる「高校生」という新しい世界に目を向けさせることができます。その上で、来るべき新しい世界に向かうためには「勉強」が欠かせないと認識させてあげましょう。
我が子の「燃え尽き症候群」には「見守る愛」「援助する愛」が大切
子どもは、大人に比べて心がとてもしなやかです。もし、我が子が「燃え尽き症候群」になったとしても、悲観的な顔をしたり、イライラして激を飛ばしたりするようなことはやめましょう。子どもは、怠けたくてそうしているのではありません。その子自身、自分のそんな状態に困惑しているのかもしれないのです。
親は自分の焦りを子どもに押し付けず、「見守る愛」「援助する愛」という姿勢を心がけることが大切です。
監修:青柳雅也/心理カウンセラー
名古屋生まれの岐阜県海津市育ち。IT関連技術者として約18年間、そのうち管理職として6年間の経験を持ちながら、人生を自分の夢のために使う事を決意し、2010年、起業する。数々のカウンセリングの臨床経験があり、活動は、個人カウンセリングや企業のメンタルヘルスケア、専門学校や大学では心理学の講師、心理学講座「青い柳のココロカフェ」の開催、コラム執筆など多岐にわたる。全国ネット情報番組に出演経験あり。