個別指導塾スタンダードのお役立ち情報
読解力の低下が叫ばれる今。子どもに本を好きにさせるために親がやりたい働きかけ
国際学力到達度調査(PISA)の結果が2019年12月3日に公表されました。国内の高校生の読解力低下を問題視する意見が報道されているのをご存知かもしれません。読書習慣のある生徒は平均点が高かった点や、テストと併せて行われたアンケートでは活字離れが進んでいる点も指摘されました。
テストの形式など読書量以外の点も今回の結果に影響しているとの指摘もあります。ただ、こういった報道をみると、お子さんには本を読むようになってほしいと思われるのではないでしょうか。中高生になる前、小学生低学年以前のお子さんをお持ちの親御さんに向けて、お子さんが読書を好きになるための働きがけをまとめてみましょう。
雑誌でもいいので、親が見本になる
小さいうちはとくに、子どもは親のマネをしたがります。雑誌や新聞でもいいので、なにかを読んでいる姿をお子さんに見せてあげてください。親がロールモデルになるのです。その姿を日ごろから見ていると、本を手に取って読むのがごく自然な行動として受けとめやすくなるでしょう。
大きくなってからも読み聞かせは有効
読み聞かせは幼児期だけだと思っていませんか? 読み聞かせならお子さんが本に接する時間を確保できるので、字を覚えて自分で読めるようになってからも続けてみてください。
とくに字は読めても内容が理解できない難しいテーマの本がおすすめです。読み聞かせで聞けば理解できたり、分からなければ親御さんに質問しながらだったりすればお子さんも複雑なテーマに触れられます。
幼児期のように毎日決まった時間に行うのは難しくても、たとえば朝の身支度が早くできたり、集合時間より早めに到着したりしたときのスキマ時間を利用してみましょう。“早くできた”ご褒美として本を読んであれば、読書に対するイメージも肯定的になります。
図書館は子どもの興味を知れる場
また図書館で開催される読み聞かせ会を利用するのも良いでしょう。読み聞かせ会だけでなく、多くの蔵書が図書館には置かれています。児童向けの簡易版から専門書まで読めるので、お子さんの興味のあるテーマを発見・深掘りできる絶好のスポットです。お子さんがどういったテーマに興味があるのか・好きな作家は誰なのかを観察し、自宅でも関連の本を揃えてみるとお子さんの好奇心を伸ばせるでしょう。
なかには図書館に行きたがらないお子さんもいるかもしれません。あなたが本を借りる・返すときに同行させたり、好きな映画などのビデオ観賞を利用させたりと、図書館に行く抵抗をなくすところから始めてみてください。
最近ではオシャレでお子さんも過ごしやすい図書館も増えています。無理やり連れていかなくても大丈夫ですから、お子さんが自然と図書館を好きになれるように根気強く誘ってみましょう。
子どもの選んだ好きな本を読ませる
そして、お子さんが読んでいる本を否定しないのも重要です。たとえマンガを読んでいたとしても、漢字の読みや言葉遣いなど学べる知識はあなどれません。子どもが選んで読んでいる本を肯定してあげましょう。
また本の読み方も子どもに任せてみましょう。一冊読むのに時間がかかってしまっても、意見したい気持ちをグッとこらえてください。好きな本を自分で選べて、最後まで読みきれた成果に目を向け、しっかり褒めてあげるのが大切です。
読書体験を共有し、考えて表現させよう
図書館に一緒に行ったり、読み聞かせをしたりしてお子さんが本に慣れてきたら、本についての情報交換をしてみてください。おもしろい本やシーンがあれば、お互いに紹介しあって情報を共有してみましょう。またあなたが昔読んだ本をお子さんにおすすめしてみるのも読書体験が共有できて親子間のコミュニケーションにつながります。
ほかにも、読んでいる本についてお子さんに質問してみるのもいいでしょう。描かれている絵からどのような情景が読み取れるか、もしお子さんが主人公の立場だったらどんな気持ちになるか……。ストーリーからの脱線も気にせず、お子さんの発想や感情を引き出し、考えて表現する機会を作ってみましょう。
強制しない!読書をおもしろいと子どもに感じてもらう
お子さんを本好きにさせるためには、強制しないのが大切です。読書にかぎらず、無理やりやらされると、心理的リアクタンスが働き、大人でも抵抗したくなります。
どのようなアプローチからであっても、「読書=おもしろい」と思わせられるかが鍵です。まずはあなたが本を読み、本に慣れさせるところからお子さんの読書習慣を育んでみてください。
監修:佐藤めぐみ
ポジティブ育児研究所 代表 & 育児相談室「ポジカフェ」主宰 イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの検定事業、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。