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「学校に行きたくない」と言われたら、中学生の子どもに親はどう向き合えばいい?
中学生は心身ともに不安定で、あらゆることに悩み苦しむ時期です。そんな折、学校に行きたくない……お子さんにそう言われたらあなたはどうしますか? どんな親御さんでも焦るのは当然です。ただ対処方法を間違えたら、余計に問題が大きくなってしまうかもしれません。中学生が学校に行きたくない理由は何なのか、またどういった対応をすればいいのかをまとめて紹介します。
中学生が学校に行きたくなくなる理由は勉強や人間関係かも
中学生は思春期の真っ只中です。身体の変化が目に見えて感じられる時期であり、ホルモンバランスも崩れて精神的に不安定な時期ともいえるでしょう。そんな状態にある中学生たちは、たとえば下のような事柄にストレスを感じて学校に行く気力を失っていると思われます。
■勉強:周りの友達からの遅れだけでなく、行事や通塾が原因かも!?
授業についていけない・内容が分からないとつまずいたのがきっかけになっているかもしれません。中学校からは算数が数学になりますが、小学生時よりも高度な学習をするため、勉強面でのつまずきを疑ってみましょう。受験勉強をする中で、周りからの遅れを感じて心が後ろ向きになっている場合もあるかもしれません。ほかにも教科担任制に馴染めないお子さんもいるでしょう。
また努力したのに成果に結びつかずに挫折したケースも考えられます。定期テストの順位や通知表の内申点は、数字として可視化されるため、お子さんもダイレクトに結果を受け止めてしまいます。
もしくは運動が苦手な子は運動会やマラソン大会、歌が苦手な子は文化祭や合唱コンクールが嫌で学校に行きたくなくなっている場合もあるでしょう。塾通いによる肉体疲労の蓄積なども中学生の身体にはこたえます。成績や結果だけでなく、広い視野でお子さんを観察してみましょう。
■人間関係:先輩後輩関係に加えて、グループやネット交流がストレスに!?
小学生よりも自由度が増す分、人間関係が複雑になるのも中学生の特徴です。部活動では先輩後輩関係が生じ、以前までは友達関係だった年上の人に敬語を使ったり接し方を工夫したりしなければならないケースがあるでしょう。
また同じ年の友達同士でも注意が必要です。仲の良い子同士が集まってグループができ始めると、グループに入れず孤立してしまう子もいます。またグループに入れたとしても、ノリが合わなかったりいじめが発生したりする危険性があるのです。
さらに携帯電話・スマートフォンの普及で、ネットを介したコミュニケーションが当たり前になりました。相手の顔が見えない状態でのコミュニケーションは大人ですら難しいのに、リテラシーが未熟で表現も拙い中学生ならばなおさらです。
■家庭環境:親子関係・兄弟姉妹関係が原因の場合も!?
灯台下暗しで、家庭内に原因があるかもしれません。たとえば親御さんとの関係は良好でしょうか? 厳しすぎたり無関心だったりと親子間でのコミュニケーションに問題がないか省みてみましょう。
また兄弟姉妹との関係が影響している場合もあります。気づかないうちにお子さん同士を比べていたりしないでしょうか。劣等感や反骨心が、学校に行きたくないという逃避行動として現れているのかもしれません。
なかにはうつ病などの病気や発達障害が原因で学校に行けなくなっているお子さんもいます。お子さんだけではもちろん、障害のように親御さんのフォローがあっても解決できない原因だってあるのです。自分の考えに固執しすぎずに、冷静になってお子さんの状況を観察するのを心がけてください。
学校に行きがらない中学生に保護者がやってはいけないこと
学校に行きたくないと言われたときは、お子さんの話を聞いて寄り添ってあげてください。間違っても下のような対応は控えましょう。
■叱る・つめる:反発して、家すら居心地が悪くなってしまう
叱られると人は誰でも反発します。親御さんの考えを一方的に突きつけてもお子さんは心を閉ざして状況が悪化するだけです。激昂するのはもちろん、「なんで?」「どうして?」とつめるのも避けてください。学校だけでなく、家にすら居場所がないとお子さんは感じかねません。
■無理やり話をさせようとする:調子を合わせてその場をやりすごして終わり!?
お子さんから話してくれるのを待つのが大事です。しかし自分の考えに固執したり世間体を気にしてしまったりすると、親御さんの方が焦って待てなくなっているかもしれません。叱るのと同じく、話せと命令されると人は反発して話したくなくなります。心を閉ざすのはもちろん、その場しのぎで調子を合わせて逃げてしまうかもしれません。
■無理やり学校に行かせる:脅迫はダメ!学校に問題のタネがあるかもしれない
熱がなく具体的な病状が確認できなければ大丈夫と捉えて、無理やり学校に行かせてはいないでしょうか。行きたくない理由は、病気ではなく、むしろ学校に問題があるかもしれません。それなのに話を聞かずに頭ごなしに強制してはお子さんが辛いだけです。なかには「お父さんに言いつけるよ!」や「つべこべ言わずに行きなさい」と脅迫までしてしまっている人がいるかもしれません。
学校に行きたくないと言った時点で、お子さんは精神的にまいっているでしょう。無理強いしても、反発して不登校につながり長期化・慢性化したら大変です。休ませた方が解決までの時間が減る場合もあります。お子さんから最初に言われたときこそ注意して対応してください。
学校に行きたがらない子へのサポート
反対に、親御さんはどのようなサポートをするのが望ましいのでしょうか。
■お子さんの話を聞く
どんなお子さんでもまずはコミュニケーションをとる・話を聞くところから始めましょう。親御さんが楽しそうにしていれば、話しかけやすい雰囲気ができてお子さんも話がしやすいです。
自ら話し始めたら、味方・理解者である姿勢を示し、お子さんを肯定してあげてください。否定的な言葉が浮かんだとしても、一回こらえて「そうなんだ」と相づちを打ってあげましょう。「大変だね」と客観的になるのではなく、「つらかったでしょう」と感情に寄り添う言葉を選んでみるのも良いかもしれません。
話が終わったら「話してくれてありがとう」と褒めてあげるとお子さんも安心できます。そこから「どうしたい?」とお子さんの要望や、「何かしてほしい?」と親御さんの関わり方について聞いてみてもいいでしょう。
■学校を休むのを肯定する
コミュニケーションを通してお子さんの価値観を広げてあげましょう。“学校は絶対に行かなければならない”というのは偏見です。苦しんでまで学校に行く必要があるのでしょうか。真面目なお子さんほど、そういった偏った考えで自分を苦しめてしまいがちです。欠席・遅刻・早退・保健室登校などを許容してあげるだけでも、心のつっかえが取れて問題が解消するかもしれません。
ただ学校は行かなくてもいいと強く肯定しすぎると、それも偏見につながる恐れがあります。行きたくなっても言い出しづらくなってしまうのです。広い視野でものごとを捉えられるように、親子のコミュニケーションから育んであげましょう。
■学校に助けを求める
学校内のトラブルが原因の場合は、学校の先生に相談してみてください。いじめはクラスの問題として担任に介入してもらった方がよい場合もあります。
また担任の先生とのトラブルの場合は、教頭先生や顔を合わせる機会の多い部活の顧問に相談するのでもいいかもしれません。もしくは部活動での体罰などが原因の場合は、部活との関係性の薄いクラス担任や教頭など相談する相手を考えましょう。もしくは保健室の養護教諭やスクールカウンセラーを頼ってもいいかもしれません。
■学校以外の場所を設ける
味方である家族がいる自宅は、お子さんにとって最高の居場所といえます。家事の役割分担をしてみると、肯定感が高まって成功体験や自信につながるでしょう。もしくは「ホームスクーリング」という考えがありますが、親御さんが先生代わりになって勉強を教えてあげてもいいかもしれません。時間をかけて勉強を見てあげられれば、つまずきが解消されてまた学校で勉強したいとお子さんが思えるきっかけになるでしょう。
もしくは格闘技の教室や囲碁将棋クラブなど地域のコミュニティにお子さんを通わせるのが有効な場合もあります。家族以外との交流から社会性が身につき、また好きなこと・得意なことが見つかって目標を設定できたり居場所を見つけられたりするかもしれません。なかには学校に行けていない同じ境遇の子どもと出会えて意気投合なんて場合もあるでしょう。
子どもから目を背けない。冷静になりながら子どもの悩みを解決しよう
学校に行きたくないとお子さんに言われて困らない親御さんはいないといってもいいでしょう。勉強や人間関係といった学校に問題があるならばともかく、家庭内のトラブルがそうさせているのであれば、親として簡単には割り切れない思いもあるかもしれません。
ただ悩み苦しんでいるお子さんから目を背けたり、感情的になってお子さんに当たったりはしないでください。学校に行きたくないというSOSを冷静に受け止めて、必要に応じて学校や地域の助けも得ながら、お子さんの悩みを解消してあげるように努めましょう。
監修:子育てアドバイザー/道山ケイ
親を変えることで子どもの成績を上げるプロとして活躍。年間3000組の親子をサポートし、約7割の親子関係が良好に変化。元中学校教師で、学級崩壊の地獄と学年最下位クラスを9ヶ月でTOPに変えた天国を経験。この体験から思春期子育て法を確立。 HP:https://tyugaku.net/