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英語の「構文」がわからない!覚え方のコツや勉強方法を解説
英語の「構文」とは? 単語や熟語ならともかく、構文はイメージしづらいのではないでしょうか。なかには150〜200前後の構文をまとめた構文集が学校で登場して『どうやって使えばいいの?』と頭をかしげた人もいるかもしれません。そもそもどのような文章なのか・どのように活用すればいいのかなど、英語の構文についてまとめてみましょう。
英語の「構文」とは、文の構造
構文とは、文の構造を意味する言葉です。“英語の構文”と使われる場合は、よく使われる表現や言い回しをまとめた文章と捉えるとわかりやすいでしょう。日本語における“ことわざ”のような慣用表現で、覚えた方がすばやく使えるため暗記が推奨されている表現といってもいいかもしれません。
あなたは「覆水盆に返らず」ということわざを知っていますか?「一度やってしまったことは取り返しがつかない」の意味を示す例えとして用いられる言葉です。この「覆水盆に返らず」に該当する文として下の一文が知られています。
「It is no use crying over spilt milk.」
日本語では水ですが、英語ではミルクが用いられていて面白いと感じた人もいるかもしれません。この一文を聞いて英語圏の人は「覆水盆に返らず」の意味である「一度やってしまったことは取り返しがつかない」を想起するわけです。文法的にみてみると、たとえば下のような解釈もできます。
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・動詞として考えられるのはis・crying・spiltの3つ。そのうち接続詞や前置詞が前になく、名詞にかかる分詞もしくは動名詞に態をかえていないのはisだけ。isが成す節が主節にあたる。
・主節の動詞であるisは、第2文型をとってS(It)=C(no use)の関係を示している。
・動名詞(crying…)を本当は主語にしたかったが、長い主語が英語では好まれないため代わりにItが仮主語として置かれている。
・cryは自動詞なので補語・目的語をとらない。
・spiltは、他動詞spillの過去形・過去分詞。主節の動詞isは現在形なので、spiltは過去の時制を示す過去形ではなく、milkを修飾する過去分詞(の形容詞的用法)。くわえて前置詞のoverがmilkにかかっているためover spilt milkは文型判断に影響を与えない修飾語(M)。
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文法を細かく言い始めるとキリがありませんが、上のように文法のルールにならって意味を解釈しても間違いではありません。しかし「It is no use crying over spilt milk.」と聞いて、いちいち文法をイチから考えて意味を解釈するより、「一度やってしまったことは取り返しがつかない」の意味を示す決まり文句だと覚えた方が早いでしょう。同じように覚えておいた方が早い語句(単語の慣用的な用い方)を「熟語」と呼ぶのであり、一文を成している場合が「構文」と呼ばれていると捉えてみてください。
英語構文の基本「文型」を理解しよう!
「It is no use crying over spilt milk.」の文法的な解釈のところで、動詞の文型の話を少しだけしました。実は“英文は動詞を中心にして作られる”のがルールであり、構文を理解して暗記する上で文型は役に立つのです。動詞ごとでとれる“型”が決まっていて、型のなかに語句を当てはめて英文をみんな作っているとイメージしてもいいでしょう。文型は全部で5つです。特徴をそれぞれ見てみましょう。
第1文型:S + V
最もシンプルな「S+V」が第1文型です。訳すと「Sは(が)Vする」になります。しかし文章が淡白すぎるため、Mが用いられている場合が多いでしょう。たとえば下の例文では、前置詞+名詞の「in a hospital」がMです。
My mother works in a hospital. (訳:私の母は病院で働いています)
第2文型:S + V + C
先ほども紹介した第2文型は「S+V+C」の形をとります。「be動詞」は第2文型の代表でしょう。「S=C」の関係を示すのが特徴です。英文を読むときにVのあとがSと≠の関係ならば、つづく要素がMになっていて第一文型でないか、もしくは下で説明する第3文型でないかを考えましょう。
I am fine . → I = fine →第2文型 (訳:私は元気です。)
I am in my room. → in my roomはM →第1文型 (訳:私は部屋のなかにいます。)
第3文型:S + V + O
第3文型は「S+V+O」の形です。「S=C」の関係が第2文型の特徴でしたが、英文を読むときにVのあとが、Mではなく、Sと≠の関係ならば目的語Oだと考えられます。
I like cats. → I ≠ cats →第3文型 (訳:私は猫が好きです)
第4文型:S + V + O1 + O2
「S+V+O1+O2」の形をとるのが第4文型です(目的語が2つなのでO1・O2として区別します)。名詞が2つ並ぶのが第4文型の特徴といえます。「O1にO2を〜する」が訳の基本イメージで、“O2を〜される人や動物など”がO1に、“O1に〜してもらうモノなど”がO2に入ります。give・buy・passなど「相手になにかをあたえる」との意味合いの動詞が多いです。
I bought her a flower. → O1:her / O2:a flower (訳:私は彼女に花を買った)
またO1とO2の順番を逆にもできます。ただし逆にするときはO1の名詞に前置詞がついてMのように扱われます。SVOの第3文型になるといってもいいかもしれません。上の例文は、下のように書き換えられます。
I bought a flower for her.
※forのほかにofやtoを使う動詞もあります。個別で覚えましょう。
第5文型:S + V + O + C
第5文型は「S+V+O+C」の形をとります。下にある例文2つを見てください。
I make him lunch. → him ≠ lunch → him=O1 / lunch=O2
→第4文型 (訳:私は彼にランチを作る)
I make him sad. → him = sad → him=O / sad=C
→第5文型 (訳:私は彼を悲しませる[直訳:彼が悲しい状態を私が作る])
2つの例文ともに、VのあとにOが置かれています。OのあとにO(O2)がもう1つ続くのか、O=Cとなる補語(C)がくるのかで第4文型か第5文型かを判断しましょう。「OがCの状態をSがVする」が第5文型の訳の基本です。Vにcallがくれば「OをCと呼ぶ」、findならば「OがCだとわかる」となります。また上の2つの例文のように、同じ動詞でも文型が違えば意味が変わるのを覚えておきましょう。
<5文型について詳しくはこちらをご覧ください。>
「動詞Vがポイント!英語の基本「5文型」を理解しよう」
https://www.jyuku-plus.jp/special/knowledge/jyuku/pg7.php
構文の覚え方やコツ
覚えてしまった方が実用的な文章が構文なわけですが、どうやって覚えたらいいのかが気になる人もいるでしょう。暗記方法については人によって多種多様ですが、一例を紹介します。
構文集の例を文法的に解読してみる
英語圏の人でもないかぎり、英文のどれが構文に該当するのか知っている人はいないでしょう。構文集が市販されているので一冊購入してみてください。学校で使っている参考書があればそれでもかまいません。買ったら、構文集に載っている文をまずは文法的に解読してみてください。「It is no use crying over spilt milk.」のところで紹介したように、主節の動詞をみつける→文型を判断する・Mを判別する→文の要素をこまかくみていく→…と英文の型である動詞を軸に文の構造を紐解くとわかりやすいでしょう。
音読などで反復練習する
文法的に解読しているときに頭に入るのはもちろんですが、時間がたつと忘れてしまいます。何度も同じ構文に触れて長期記憶として頭に入れましょう。こまかい文法を一度解釈しておくと、同じ構文をみたときに『主節はここで、動詞が第3文型をとっていて…』と文法の情報も思い浮かぶはずです。反復練習の定番である「音読」を繰り返せば、目でみた視覚的情報だけでなく、耳からの聴覚的情報でも構文を覚えられます。構文集にCDなどがついている場合は、サンプルに合わせて復唱するのもいいでしょう。ヒアリング力だけでなく、発音を意識してスピーキング力も鍛えてみてください。
自分で文章を作ってみる
構文をテンプレートにして自分で文章を作ってみましょう。「It is no use crying over spilt milk.」を使って、「It is no good talking to me.(私と話しても無駄よ)」などと違った表現にしてみるのです。表現が変わって「覆水盆に返らず」の意味合いを伝える文章ではなくなりますが、仮主語のitを用いた文として遜色はありません。構文と特定の意味をセットで覚えるのも有効ですが、文章を考えるときのテンプレートとして構文の表現を用いるのです。英作文をする作業が構文の暗記にもつながるでしょう。
本や映画・音楽を使って学ぶ
本や映画・音楽のなかにも英語が登場します。構文とはよく使われる表現や言い回しをまとめた文章でした。つまり本や映画・音楽のなかでもよく使われるのです。映画に登場するセリフなどは、場面設定やストーリーの力もあって頭に残りやすいでしょう。英語が登場する場面では、構文集に載っている例文がそのまま使われていないか、また少し変えられて登場していないかをチェックすると楽しみながら構文の暗記ができます。
まず覚えてから文法を解読するのもアリ
英語の構文が覚えられれば長文やライティングなどにも応用できるのは間違いありません。覚える流れとして、構造を理解してから例文を暗記するのを例としましたが、先に例文を覚えてから『この文はどういった構造でできているんだ?用いられている文法は?』と逆の方が覚えやすい人もいるでしょう。覚えるときには構文に触れる回数を増やす反復練習を意識してみてください。