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これからの教育はテクノロジーで劇的に変わるかも!! 経済産業省がすすめる「EdTech」を知ろう!!
近年登場してきた新たな教育用語「EdTech(エドテック/エデュテック)」。黒板とチョークで行われていた授業が今後、劇的に変化していく可能性があることをご存知でしょうか。生徒が英語のスピーキングを練習するとき、トレーニング相手は人ではなくロボットになる。そんな未来も近づいてきています。今回は、そんな「EdTech」の概要と具体的な事例をご紹介します。
教育とテクノロジーの融合「EdTech」
「EdTech」とは、「Education(エデュケーション:教育)」と「Technology(テクノロジー:技術)」を融合させた造語です。これまで学校では、先生が黒板にチョークで書いたことを生徒が鉛筆で紙のノートに書き写すというアナログな形で授業が行われてきました。十数年前からパソコンが普及し、学校にもパソコンが導入され、プログラミングの教育などで使われるようになってきています。それでも、国語や算数などの授業は変わらず黒板とノートと教科書で行われている学校がほとんどと言えるでしょう。
しかし、近年様々な分野でネットワーク技術を活用したサービスが開発されるようになってきており、いよいよその波が教育業界にも届いてきました。そこで生まれたのが「EdTech」という概念です。
「EdTech」で学校はこう変わる!
これまで行われてきたような、例えば単にパソコンの使い方を学ぶだけのような教育ではなく、学校教育そのものにテクノロジーを積極的に活用していく、というのがEdTechの考え方です。これにより学校が抱えている教育上の課題を解決することが期待されているのですが、では具体的にどのようなサービスが行われようとしているのでしょうか。いくつかの事例を紹介していきます。
EdTech事例その1:デジタル教材の導入
教科書やノートなどのアナログな教材に加えて新たに登場してきたのが、AI(人工知能)ロボットやプログラミングロボットなどのデジタル教材です。例えばAIロボットは、英語学習での活躍が期待されています。これまでは英語のスピーキングを学ぶ際、生徒の発話を聞いて指導するのは先生だけでした。しかし生徒が約30名いるのに対して先生は1、2名しかおらず、生徒全員に十分な指導をすることは難しい状況が続いていると言えます。そこで生徒が英語でしゃべった言葉を聞いて指導できるようなAIロボットを活用されたとしましょう。そうすることで、生徒全員が手軽にスピーキングを練習できるようになるのです。またロボット相手であれば自分のペースで楽しみながら積極的に練習するようになる、というメリットも期待できます。
また、2020年から小学校でも必修となるプログラミングを楽しく学ぶためのプログラミングロボットも開発されています。体験イベントが各地で開催されていたり、東京都小金井市立前原小学校や私立立命館小学校(京都府)などの一部の学校では実際に学習の一環で活用されていたりします。
EdTech事例その2:オンライン授業(e-Lerning)の実施
現在多くの学校の授業は、教室に生徒が集まって先生が直接指導する「一斉指導」型で行われています。しかし、今後はネットワークを介してモニター越しに行われるオンライン授業形式も普及してくるかもしれません。
一斉指導型の授業には、参加できない生徒が置いてきぼりになってしまうデメリットがあります。例えば体調不良で1日休んだだけでも、4~5時限分の授業内容がすっぽ抜けてしまいます。また、様々な事情により教室に足を運ぶことが難しい生徒も多くいます。
そこで、場所と時間を選ばずに授業を受けることができる「オンライン授業」の特性を生かすことができます。すでに学習塾などでは講師の授業を動画で見られるビデオ授業が普及していますが、オンライン授業はネットワークを介して双方向のやりとりが行えるというメリットもあります。
また、指導者側も生徒の学習進度や理解度が把握しやすくなるので、つまづきや理解度に合わせた指導がしやすくなることもメリットでしょう。更に後述するSNSを利用すれば宿題の提出などもオンライン上で完結するので、教室で授業を受けるのとほぼ同等の教育の質を確保できます。
EdTech事例その3:SNSの教育利用
近年登場してきたのが、学校関係者のコミュニケーションに特化した「SNSサービス」です。例えば保護者と教師とのやりとりはこれまで連絡帳やプリントといった紙媒体で行われているところがほとんどでしたが、SNSサービスを利用して保護者と教師しかアクセスができないネットワークを構築することで、情報を保護しながら必要なコミュニケーションを円滑にとることができます。
また、保護者と教師だけではなく教師同士でのコミュニケーションにも利用できます。そのため、他校の教師と授業などのノウハウを共有し合うといったような活用方法も考えられています。学校によっては、生徒同士のコミュニケーションに活用されているところもあります。
「EdTech」の取り組みは始まったばかり
日本国内でのEdTechの取り組みは始まったばかりであり、現在は様々な企業等が学校教育に役立つツールやサービスを開発・試験している段階です。ですからすぐに学校教育が劇的に変わるわけではありません。しかし、今後少しずつ学校教育にEdTechが浸透していき、授業の形がより良く変化していくことが期待されます。
親としては、自分たちが受けてきた授業とのギャップに戸惑うかもしれません。ですが、EdTechを含めて学校教育に積極的に関心を寄せて、家庭教育でサポートをしていくことが大事です。
監修:ITジャーナリスト/高橋 暁子
LINE・Instagram・TwitterなどのSNSなどのウェブサービス、10代のSNS利用実態、情報リテラシー教育などを専門とする。一児の母であり、元東京都教員の経歴をもつ。『ソーシャルメディア中毒(幻冬舎)』『できるゼロからはじめるLINE超入門(インプレス)』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本(日本実業出版社)』『Facebookで就活に成功する本―ソーシャルメディアを活用して希望の会社に入る法(自由国民社)』など著書も多数。