絵本の「読み聞かせ」が子どもの想像力を大きく育てるワケ

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絵本の「読み聞かせ」が子どもの想像力を大きく育てるワケ

小学生教育 2016.08.08

近年、注目を集めている「読み聞かせ」。「子どもの想像力を育てる」と言われていますが、それは字をまだ読めない幼児に限ったことではありません。

絵本には、選りすぐられた言葉と、絵や行間から感じ取れるメッセージが凝縮されているため、年齢によって受け止め方が変わります。実際、中学校や高校で「読み聞かせ」を取り入れたところ、「最初は絵本だなんて……」と鼻で笑っていた生徒たちの集中力が次第に増す様子が顕著に見られ、クラスのまとまりが良くなった、という実例が多々あるのです。

今回は、そんな「読み聞かせ」についてご紹介します。

耳で聴くことで物語に集中し、
想像の世界に引き込まれていく

絵本の「読み聞かせ」が子どもの想像力を大きく育てるワケ

なぜ、「読み聞かせ」は子どもたちの想像力を育てるのでしょうか?これには、聴覚と集中力の関係が大きく作用しています。子どもたちは、耳で聴くことで物語に集中し、絵による視覚的な効果も相まって、ぐんぐん想像の世界に引き込まれていくのです。一番のポイントは、読んでもらったことによって、聴覚がしっかりと働いていることです。

想像力は、子どもたちが人生を切り開いていくうえで大切な力です。例えば、大学受験においても、想像力は今まで以上に重要視されるようになってきました。また、教育要項が大幅に変わった今、文部科学省は「変化の激しいこれからの社会を生きる子どもたちには、『生きる力』『確かな学力』を育むことが必要」だとしています。

この「確かな学力」には、知識・技能に加え、学ぶ意欲・自ら課題を見つけ学び解決していく力、思考力・判断力・表現力などの8つの資質と能力が挙げられていますが、特に、「学ぶ意欲・自ら課題を見つけ学び解決していく力(ペーパーテストで測ることのできない見えない力=非認知スキル)」を伸ばすためには、想像力が不可欠です。

子どもの人生を左右すると言っても過言ではない力「想像力」を育てるために、親がすぐできることが「読み聞かせ」なのです。

焦りは禁物!地道な「読み聞かせ」が豊かな想像力を育む

絵本の「読み聞かせ」が子どもの想像力を大きく育てるワケ

ただし、「読み聞かせ」には注意点があります。想像力は、短い期間で身に付くものではありません。また、その力は目に見えるものでもありません。

そのため、親が焦ってしまい、勉強に直結するような絵本だけを選び、絵本の途中で質問を繰り返したり、読み終わってすぐに無理やりに感想を聞き出そうとしたりすると、その効果は半減します。

親子のコミュニケーションを通して豊かな想像力を育むはずの「読み聞かせ」が、単なる勉強のツールになってしまっては本末転倒です。

ちなみに、私が小学生におすすめする絵本は以下の4作品。「読み聞かせ」の参考にしてみてください。

● 「ともだちやもんな、ぼくら」(作:くすのき しげのり 絵:福田 岩緒 出版社:えほんの杜)
● 「LIFE(ライフ)(作:くすのき しげのり 絵:松本 春野 出版社:瑞雲舎)
● 「どんなかんじかなあ」(作:中山 千夏 絵:和田 誠 出版社:自由国民社)
● 「みずいろのマフラー」(作:くすのき しげのり 絵:松成 真理子 出版社:童心社)

子どもの頃の「読み聞かせ」体験は、
大人になってから生きてくる!

国立青少年教育振興機構の調査結果によると、子どもの頃に読書活動と体験活動の両方を多く経験した大人ほど「意識・能力」が高いことがわかりました。親が子どもに「読み聞かせ」をしてあげられる期間は意外と短いものです。しかし、その体験は大人になってから着実に現れます。

だからこそ、我が子の心に届けることだけを思い、ただひたすら「読み聞かせ」を積み重ねてあげてください。そのことが子どもの想像力を育み、これからの時代に求められる力となることでしょう。

石橋幸子/絵本専門士

監修:石橋幸子/絵本専門士

絵本の読み聞かせで広がる「想像」を、のびのびと「創造」する造形教室「NPO法人アトリエ・Petata」の理事長。「わくわくをアートにする」情操教育と、親子の絆を深める子育て支援を行っている。また、国立青少年教育振興機構認定の絵本専門士としても活動中。他に、「絵本の選び方・読み聞かせについて」「子どもをひきつける話し方」といったテーマでの講演や、幼稚園・小学校などで出張造形教室などを行う。