小学生でも50%以上が持っている「携帯電話」。学校に持ち込むのはOK?NG?

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小学生でも50%以上が持っている「携帯電話」。学校に持ち込むのはOK?NG?

小学生教育 2019.08.22

小学生(10才以上)の55.5%、中学生の66.7%が携帯電話(スマートフォンを含む)を持っている時代です。携帯電話には、緊急時に保護者と連絡がとりやすいといったメリットだけでなく、ネットいじめの原因につながるなどデメリットもたくさんあります。そんな携帯電話は、小中学校への持ち込みが現状では禁止されています。デメリットを無視はできませんので、当然なのかもしれません。

ですが、2019年4月から大阪府では全国に先駆けて所持が認められ、5月から文部科学省でも「学校における携帯電話の取り扱い等に関する有識者会議」が毎月開かれるようになりました。ニュースをチェックしている方もいるかと思いますが、小中学校への携帯電話の持ち込みについてどういった議論が進んでいるのでしょうか。メリット・デメリットも整理しながら、議論の内容や専門家の意見をまとめてみましょう。

携帯電話を持つメリットとデメリットは表裏一体

学校に携帯電話を持ち込むのにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。教育活動に携帯電話などの情報端末を用いる「BYOD(Bring Your Own Device)」の取り組みが広がるのはまだまだ先の話になりそうですが、例をまとめてみると下のような点が指摘できます。

携帯電話を持つメリットとデメリットは表裏一体

対をなして書いているものもあるとおり、携帯電話の持ち込みは一長一短です。便利なツールであるがゆえに、悪用される・毀損するリスクも大きくなってしまいます。挙げた以外にもたくさんあると思われるメリット・デメリットとうまく付き合っていく方法とは? 大人のみなさんでも難しいこのテーマを小中学生のお子さんが理解した上で正しく携帯電話を使ってくれるのでしょうか。一度を考えてみてください。

一部解除の大阪府を見ながら、ルールづくりが進む

一部解除の大阪府を見ながら、ルールづくりが進む

次に、現状のルールをまとめてみたいと思います。前述のとおり、小中学校への携帯電話の持ち込みは2009年度の文科省の通知によって原則禁止されていました。しかし、災害などの緊急時の連絡手段として、持ち込み許可願いを申請する親が出るようになりました。これまでも学校は、保護者からの申請がある場合に限って例外的に許可してきたのです。

そんななか、大阪府北部地震を契機として、大阪府が先行して携帯電話の所持禁止を一部解除に踏み切ります。2019年3月27日に『小中学校携帯電話持ち込みのガイドライン』を大阪府教育庁が発表し、4月から府内の公立小中学校で持ち込みが可能になりました。保護者や地域住民には肯定的な意見の人がもともと多かったため、大阪府の事例を見ながら各都道府県が対応を模索しているのが現状といえます。

一部解除の大阪府を見ながら、ルールづくりが進む

ルール統制やモラル教育が未熟の今は、まだ危険と叫ぶ声も

ルール統制やモラル教育が未熟の今は、まだ危険と叫ぶ声も

大阪府の事例を見ているのは、ほかの都道府県だけではありません。教育の専門家たちも各々の意見を出しています。たとえばスマホを(世界中にアクセスできる)“高速道路”とたとえて、無免許の小学生に高速道路で運転させるようなものと批判的な見解を示した人がいました。判断能力に欠ける小学生が(キッズケータイならともかく)大人用の機器を持つ危険性を説く人は少なくないでしょう。せめて高学年以上の管理・安全な利用などができる年齢になってから持たせるべきではないかと見る人もいます。

また小・中学生はおろか、情報モラルに欠ける人は大人のなかにもいます。管理責任を保護者に課したとしても、先生が節度のある対応ができるかどうかは別問題です。高校では一定の制限を設けて所持が認められているのをご存知でしょう。しかし、ルールを守れない生徒がいるのはもちろん、先生によって対応が異なることが不満につながっていたりもするのです。なかには1台10万円程度する機器もあります。ルールを守れなかったから没収するとしても、どこで誰の責任で保管するかなどのルールを学校は考えて徹底しなければなりません。

現代人の生活習慣や価値観を鑑みると当然と捉える人たちも

現代人の生活習慣や価値観を鑑みると当然と捉える人たちも

反対に、時期尚早である点を強調しつつ、世の中の流れをみると当然の方向だと肯定的な意見も示している人もいます。緊急連絡手段としての重要性だけでなく、情報の収集・発信の能力やリテラシーを上げるために携帯電話に慣れさせるのは悪い取り組みではないという意見です。

ほかにも、没収した携帯電話を保護者に直接返そうとしても、シングルペアレントや共働きで平日に時間が作れない親御さんはたくさんいるでしょう。そんな現代人の生活習慣や価値観に合わせながら、国や学校はルールを作っていかなければならないのです。

以上のように、賛否両論が入り混じっている状況ではありますが、先生・保護者・生徒が快く対応できるルールが国・各都道府県・市区町村で作られるかをみなさんも関心を寄せてください。また、お子さんに持たせるか否か、家庭でもどのようなルールをお子さんに課すかを考えてみるのもいいでしょう。

ITジャーナリスト/高橋 暁子

監修:ITジャーナリスト/高橋 暁子

LINE・Instagram・TwitterなどのSNSなどのウェブサービス、10代のSNS利用実態、情報リテラシー教育などを専門とする。一児の母であり、元東京都教員の経歴をもつ。『ソーシャルメディア中毒(幻冬舎)』『できるゼロからはじめるLINE超入門(インプレス)』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本(日本実業出版社)』『Facebookで就活に成功する本―ソーシャルメディアを活用して希望の会社に入る法(自由国民社)』など著書も多数。

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