近県の学校との提携も。社会の変化に合わせて進む「国立大学改革」の現状

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近県の学校との提携も。社会の変化に合わせて進む「国立大学改革」の現状

高校生教育 2019.11.22

センター試験から大学入学共通テストに変わったり、2020年度から入試をふくめて教育制度が変わろうとしています。とくに、大学入学共通テストを経て、入学することになる国立大学も今まさに改革が進められているところです。国立大学の改革がどのような方針で進め、どのような議論がいま行われているのか。まとめて見てみましょう。

2004年度からつづく国立大学改革の流れ

2004年度からつづく国立大学改革の流れ

国立大学改革がスタートしたのは2004年度からです。以前は国の行政組織として教育研究を行ってきましたが、2004年度から国立大学の法人制度が始動し、2010〜2015年度で本格的に法人化が進められました。法人化によって規制が緩和された国立大学では、学外者を経営に参加させるケースや、民間企業との共同研究が増加したケースが見受けられます。

新興国の台頭などによる競争激化・グローバル化・少子高齢化が進展し、国立大学を取り巻く環境も変化してきました。環境の変化をとらえ、“持続的な「競争力」を持ち、高い付加価値を生み出す”大学に国立大学を改革しようとしているのです。

2022年度からの計画を議論するために文科省が改革方針を打ち出し

2022年度からの計画を議論するために文科省が改革方針を打ち出し

2018年10月23日には東京大学・京都大学・東北大学につづいて大阪大学が「指定国立大学法人」に追加指定されました。指定国立大学に指定されると、世界の有力大学と伍する(互角に張り合う)成果を求められる厳しい立場になります。その反面、研究成果を活用する事業者に対して出資が可能になるなどの利点もあります。

ほかにも、2018年11月に「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」が中央教育審議会から提出。国立大学法人の統合や再編にくわえ、地域の大学・大学院・短大・専門学校などが国公私立の枠にとらわれずに連携を強める「地域連携プラットフォーム(仮称)」の創設が提言されました。

2019年1月には「高等教育・研究改革イニシアティブ(柴山イニシアティブ)」を文部科学省が策定し、改革の基本方針がまとめられました。さらに国立大学を運営する国立大学法人と2022〜2027年度の計画を議論する時期にさしあたり、6月18日に改革方針を文科省は打ち出しました。今後、2022年度以降の各国立大学のあり方について対話を行っていく予定になっています。

文系学生でも数学やデータサイエンスの科目を履修するように

文系学生でも数学やデータサイエンスの科目を履修するように

国立大学に今後どのような改革が進められるのか、6月18日に出された2022年度以降の改革方針を見てみましょう。

文系学生でも数学やデータサイエンスの科目を履修するように

学生が感じる変化としては、人文・社会学系の文系学部の生徒であっても数理・データサイエンスについての科目を履修するようになったり、単位取得の査定が厳しくなったりするのが挙げられるでしょう。

また宇都宮大学と群馬大学が2020年度から設置する「共同教育学部」では、お互いの大学にいながらオンラインで受講する授業も展開される予定です。ほかにも名古屋大学と岐阜大学が「大学等連携推進法人(仮称)」の第一号として「国立大学法人東海国立大学機構」を創設するので、学生の授業スタイルなども変わっていくかもしれません。

改革方針に基本的に合意したコメントを国立大学協会も出した

改革方針に基本的に合意したコメントを国立大学協会も出した

2019年6月26日、文科省との対話を前に全国の国立大学法人を会員とする「国立大学協会」が会長・永田恭介 筑波大学学長の名前でコメントを発表しました。当協会がまとめた国立大学の将来像と改革の方向性が基本的には共有している点を認め、文科省が出した方針のもとで改革を進める決意を示しています。

くわえて、地方における文化的・経済的な拠点となり、産業・医療・福祉・教育面で地域社会に貢献する責務が国立大学にある点も強調。少子高齢化だけを視野に入れた改革とならないように、財政・制度面での支援を続けてほしい旨もコメントしました。

簡単に国立大学改革の流れと現状をまとめましたが、実際に国立大学への進学を希望している人も多いでしょう。自分が入学して母校となりうる大学がどのように変わっていくのか、今後も注目しておいてください。

教育ジャーナリスト マザークエスト代表/中曽根陽子

監修:教育ジャーナリスト マザークエスト代表/中曽根陽子

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。 オフィシャルサイトhttp://www.waiwainet.com/