「絶対値」とは?基本を知れば絶対値を理解するのは難しくない

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「絶対値」とは?基本を知れば絶対値を理解するのは難しくない

数学は積み重ねが大切です。それは「絶対値」の単元でもよく理解できる言葉かもしれません。最初はシンプルに「|」を外すだけでよかったのに、符号や変数が絡んだり、場合分けが発生したりする間に着いていけなくなった人も多いのではないでしょうか。

今回は絶対値を基本に立ち返って勉強します。シンプルな基本をしっかり押さえて、応用問題にもチャレンジできるようになりましょう。

温度計を使って絶対値を考えよう

温度計を使って絶対値を考えよう

絶対値とは、原点0からの距離をあらわす値です。ただ、これだけではよく分からない人もいるでしょう。より具体的に説明していきます。

理科の授業や自宅などで上の写真に載っているようなアナログ式の温度計を見た経験はないでしょうか。上の温度計は小さい目盛り1つが2℃分のため、気温が16℃であるのを示しているのは分かるでしょう。つまり「気温は+16℃」。これを言い換えると、“0℃を基準にして、0℃よりも16℃ほど気温が高い”となります。

さらに、上の画像には「0」の下に「10」や「20」などの数字が見えます。温度計の仕組みを知っている人は、0の下にある10が「-10℃」、20が「-20℃」を示す値だとわかるでしょう。仮に温度計の真ん中の赤い棒が0より下の10の位置にきたら「気温は-10℃」です。先ほどと同じく言い換えると“0℃を基準にして、0℃よりも10℃ほど気温が低い”となります。

絶対値は距離、符号は方向

絶対値は距離、符号は方向

上の説明から最後の一文をそれぞれ抜き出してみましょう。あとの説明のために「16℃」を(A)、「―10℃」を(B)と呼んで説明していきます。

(A) 16℃ → 0℃を基準にして、0℃よりも16℃ほど気温が高い
(B) -10℃ → 0℃を基準にして、0℃よりも10℃ほど気温が低い

(A)と(B)を比べると違う部分が2つあるのが分かるのではないでしょうか。「16」と「10」、「高い」と「低い」です。ここであらためて温度計を思い出してみてください。「高い」は赤い棒が上の方向に、つまり「+」の方向に伸びているのを指し、「低い」は下の方向(「-」の方向」)に伸びているのを意味しているのです。

そして、(A)の「16」と(B)の「10」はそれぞれ0からどれくらい離れているのかを示す値です。このように、+・-の符号で表される方向を気にせず、原点0からの距離をあらわす値が「絶対値」……という冒頭の説明に戻るのでした。

絶対値の記号「|」を外す方法

絶対値の記号「|」を外す方法

|20|や|-4|のように2本の「|」で数字を挟み、絶対値は表現します。(A)・(B)の絶対値は下のように表します。

(A) |16| = 16
(B) |-10| = 10

見てわかるように+と-の方向は絶対値では問われません。そのため(A)のように「|」の中の数字が正の数の場合はもちろん、(B)のように負の数であっても絶対値に符号はつきません。

違う言い方をすれば、絶対値は“距離”を表す値のため負の数にはならず、かならず正の数になります。100m走はあっても、-100m走はありえません。-100m走の場合は、“-の方向に0から100mだけ走る”ことであり、0からの距離は100mなのです。

絶対値の中が文字列の場合

絶対値の中が文字列の場合

また「|」の中が数字であればわかりやすいのですが、なかには文字列が入ってくる場合があります。たとえば|x|や|a-5|などです。絶対値の中が文字列の場合は、中身が正か負かで場合分けをする必要があるので注意しましょう。

|x|のように絶対値の中身が変数1つだけの場合をまず説明します。シンプルに下の2パターンで場合分けして計算していきます。

x>0のとき|x|=x
x<0のとき|x|=-x

「x<0のとき|x|=-x」と見ると、「-」がついていて“絶対値はかならず正の数になる”ルールに矛盾しているように見えるかもしれません。しかし、「x」自体が負の数のため、わざと「-」をつけて-×-で、正の数にしているのです。

次は|a-5|を見てみましょう。絶対値の中に変数と合わせて数字や符号が入って数式になっている場合は、符号に注意しなければなりません。

a−5>0 → a>5のとき|a−5|=a−5
a−5<0 → a<5のとき|a−5|=−(a−5)=−a+5

まずは、a−5が正なのか負なのかを最初に整理します。結果的に「a>5のとき」と「a<5のとき」となっていますが、「|」の中身が正なのか負なのかを場合分していると考えてください。

そして、中身が正の場合(a>5のとき)は、+・―は変わらないためシンプルに「|」を外せばOKでした。中身が負の場合(a5のとき)は、―をかけて正の数にしなければならないため、−×(a−5)になります。展開する場合、+の数の符号は-にかわり、―の符号は+に変わります。よって、「a」には-がつき、「5」の前にある-は+に変わるのです。

絶対値の問題に挑戦!

絶対値の問題に挑戦!

絶対値の意味や扱い方がわかったところで問題にチャレンジしてみましょう。答えは一番下にありますので、解いてからチェックするようにしてください。

Q1:次の数の絶対値を答えなさい。

a) 4
b) +0.5
c) -6
d) 0

Q2:次の数の絶対値を求め、絶対値の大きい順に並べなさい。

a) -2

b) 3.26
c) -4.9

基本を思い出しながら丁寧に絶対値は計算

基本を思い出しながら丁寧に絶対値は計算

符号が絡んだり、変数が絡んだりすると難しく感じられるかもしれませんが、絶対値のルール自体はシンプルです。今回説明してきたとおり、“絶対値は正の数しかありえない”のをしっかり念頭に置きましょう。そこから焦らず丁寧に符号を整理したり、場合分けしたりしてみてください。あらゆる形で問題では問われますが、演習をこなしているうちに落ち着いて解答できるようにもなるでしょう。

[練習問題の答え]
Q1

a)4 →“+”も“―”もついてないのでそのまま
b)0.5 →“+”を取って考えましょう
c)6 →“―”を取って考えましょう
d)0 →絶対値は0からその数までの距離。0から0までの距離は0なので、絶対値も0

Q2

解答:c(―4.9)→b(3.26)→a(-2)

a~cをそれぞれ符号を無視して考えると……
a)2、b)3.26、c)4.9
……なので、大きい順に数字を並べると……
4.9>3.26>2
……になります。