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大学受験にある「スカラシップ入試」とは?高校にも制度はある?
大学に行くなら国公立。そうあなたが思っている理由に学費負担の心配が挙げられるのではないでしょうか。ただ、私立大学でも奨学金などの制度が充実しており、場合によっては国公立大学よりも安く通える場合もあるのです。今回は、学生の経済的な負担を減らす制度である「スカラシップ入試」について情報をまとめました。勉強に自信がある人は、スカラシップ入試の利用もぜひ検討してみましょう。
スカラシップ入試とは奨学金給付に適した入学者を選抜する試験
「スカラシップ」とは奨学金を意味する言葉です。そして、その名のついた「スカラシップ入試」は、奨学金を給付するのにふさわしい入学者を選抜する試験をさします。入試で上位の成績をおさめて給付の権利を得た生徒は、学校に支払うべき費用(学費・入学金・施設費など)を全額もしくは一部免除されたり奨学金を給付されたりします。国公立でも同じような制度がある大学もありますが、学費の比較的高い私立大学で主に活用されている制度といえます。
スカラシップ入試の名称は、「特待生入試」や「奨学生入試」など大学によってさまざまです。同じく合格者の呼び方も、「給費生」や「特待生」など大学によって異なります。ほかにも大学入学共通テストを利用する方式か・一般入試の成績上位者から選抜する方式か、申請不要で機会的に選ばれるのか・事前のスカラシップ入試利用の申請が必須かなど学校ごとに制度の運用面での違いもあります。利用したい人は志望校の制度運用を事前に調べて準備しておきましょう。
またスカラシップ入試は、ほかの試験とくらべて早めに実施される場合があります。入試シーズンの前の予行練習になるだけでなく、合格できればいち早く受験を終えられる可能性もあるでしょう。
なかには学費の免除・減免が受けられる「高等教育の無償化」に注目しているかもしれません。ただし、高等教育の無償化には世帯年収の上限があり、条件に合致しない場合に注意が必要です。対するスカラシップ入試は成績が上位であれば世帯年収にかかわらず費用が軽減できる点もメリットといえるのではないでしょうか。
スカラシップ入試と一般的な奨学金との違い
奨学金には「貸与型」と「給付型」があります。大学生のなかでも広く利用されている独立行政法人日本学生支援機構の奨学金は貸与型にあたり、借金をしているのと同様のタイプです。大学を出た時点で返済を始めなければならず、返済不能になって問題化したケースが目について懐疑的・否定的な人もいるかもしれません。
対するスカラシップ入試は「給付型」です。費用の免除・減額の場合は”もらう”感覚はないかもしれませんが、本来ならば支払わなければならないお金を払わずに済むため経済的な負担が減るのは間違いないでしょう。もちろん借金のように返済の義務も発生しません。学費の高い私立大学への進学やそもそも大学進学自体を経済的な理由で断念せざるをえないと考えていた人には、うれしい選択肢ではないでしょうか。
スカラシップ入試を実施している大学
もし志望校がすでに決まっているならば、スカラシップ入試を実施しているかぜひ調べてみてください。今回はスカラシップ入試を積極的に実施している私立大学を7つまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
※2021年4月23日掲載分をもとに執筆しており、2021年度分と2022年度分が混在しています。
専修大学 [スカラシップ入試/2021年度入学分]
○ 「スカラシップ入試」と全学部・全学科が併願可能な「全国入試」が全国17会場で実施
○ スカラシップ入試・全国入試ともに、一般選抜と同じレベルの同一問題を利用
○ スカラシップ入試の合格者は4年間の授業料・施設費を免除
関東学園大学 [一般・スカラシップ入学試験(A日程)/2021年度入学分]
○ スカラシップを希望する場合、数学Iを選択しての受験が必須
○ 書類審査・面接・3科目の受験結果で、目安として下の得点率を上回った人の中から特待制度の対象を決定
→数学I選択で80%:授業料(68万/年)が4年間全額免除 ※進級時に継続審査あり
→数学I選択で70%:入学金(33万6000円)と初年度授業料半額(34万円)の免除 ※初年度のみ
→数学I選択で60%:入学金(33万6000円)免除
→現代社会選択で合格した人の中での成績上位者:入学金(33万6000円)免除
武蔵野大学 [ムサシノスカラシップ選抜/2021年度入学分]
○ 1次試験に基礎学力検査、2次試験に面接と口頭試問
○ 3パターンの奨学金のなかから選んで出願時に申請
○ 試験日と合格発表が12月中のため、大学入学共通テストなどの予行練習としての利用できる
○ 最長4年間(薬学科は6年間)の授業料が全額免除。学費は国公立大学並みに
○ 奨学金の反映で減額された納入金で入学手続を行える
玉川大学 [国公立大学併願スカラシップ入学試験/2022年度入学分]
○ (入学金・留学費用・諸費を除く)学費などの納付金が、大学入学共通テストで優秀な成績をおさめた生徒は国公立大学の授業料と同額の535,800円に減額
○ 入学後も学業成績が優秀であれば、引き続き最大4年間は同様の権利が得られる
○ 国公立大学を併願せずとも出願可能
○ 3教科型と5教科型がある
○ 後期募集もあり、大学入学共通テストのあとに結果を考慮してからでも出願可能
長崎外国語大学 [スカラシップ入試/2021年度入学分]
○ 2学科の合同選抜における成績優秀者10人が奨学金の対象
→上位5人:1年次の授業料・施設設備費の全額(約100万円)を授与
→次点の5人:1年次の授業料・施設設備費の半額(約50万円)を授与
恵泉女学園大学 [特別スカラシップ入試/2021年度入学分]
○ 入試の成績に応じた授業料の免除がある
→最大4年間・年間授業料の全額(750,000円) ※2年次以降継続条件:GPA3.0以上
→最大4年間・年間授業料の半額(375,000円) ※2年次以降継続条件:GPA3.0以上
→1年次授業料の半額(375,000円)
○ 一般選抜における合格水準を満たすと判断できた場合、一般選抜の受験を免除して出願のみで合格が認定される
○ 試験日と合格発表が12月中のため、大学入学共通テストなどの予行練習としての利用もできる
東洋英和女学院大学 [スカラシップ入試/2021年度入学分]
○ 授業料など214万円(2020年度実績)が2年間免除
○ 入学後の学業成績が一定の基準に達していれば、最長4年間授業料などの免除が継続
中学や高校にもスカラシップ入試はある
実はスカラシップ入試を実施している中学や高校もあるのです。高校生のあなたからしたらもう遅いかもしれませんが、3校ほど情報をまとめてみました。
城西大学付属中学・高校
○ 中学学力スカラシップ生:中学一般入試の成績優秀者から認定
→Ⅰ類:入学金・授業料・施設費の免除(原則3年、進級時成績状況の見直しあり)
○ 高校学力スカラシップ生:学力スカラシップ入試合格者・一般入試成績優秀者・本中学校から高校に内部進学する成績優秀者から認定
→Ⅰ類:入学金・授業料・施設費の免除(原則3年、進級時成績状況の見直しあり)
○ 高校3年間において学園が指定したクラブ活動への所属と活動を前提とした「スポーツスカラシップ生」もあり
藤枝明誠高校
○ 入試で英数科を受験する生徒の全員が対象(入学願書で「希望有り」を選択)
○ 入学金・授業料・施設設備費を支給、奨学金を授与
○ 奨学金:大学の入学金相当である36万円が3年間で授与される
○ 途中での打ち切りは原則的にはない
植草学園大学付属高校
○ 前期選抜試験Aの成績がとくに優秀な者に対して奨学金を支給する制度
○ 入学時納付金のうち施設費を、毎月の納入金のうち教育充実費を免除
○ 授業料相当額の奨学金を支給
高校の場合は、スカラシップ“入試”ではなくスカラシップ制度や特待生制度としているところが多いです。また学校独自の制度以外にも、文部科学省による「就学支援金」や都道府県が実施する「奨学のための給付金」などの奨学金も高校生向けに制度が整っています。大学入学以前に、高校の学費負担を軽くしたい場合は調べてみるといいかもしれません。
早稲田や慶応など独自の奨学金を充実させている大学も
スカラシップ入試で進学をあなたが決めたとしたら、卒業するまでずっと費用の免除・減免になるように努めてください。スカラシップ入試で合格・進学したとしても、成績が悪ければ特待生扱いが終了して通常費用の支払い義務が発生しかねません。進学後も継続して勉強をがんばりましょう。
またスカラシップ入試だけでなく、独自のスカラシップ(奨学金)を設ける大学も多くあります。人気私立大である早稲田大学の「めざせ! 都の西北奨学金」や慶應義塾大学の「学問のすゝめ奨学金」などは良い例でしょう。「高等教育の無償化」について軽く触れましたが、多くの学生の学ぶ機会を奪わないように制度はドンドン整ってきています。ぜひあなたの進学したい大学にもスカラシップ制度がないか調べてみましょう。