72文字がカギ!? 平成の次の「元号」はこうして決められる

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72文字がカギ!? 平成の次の「元号」はこうして決められる

中学生その他 2018.08.24

「平成最後」と各所で盛り上がっています。中学生のみなさんは”平成最後の夏休み”などと言ってはしゃいでいるかもしれませんが、来年からはどんな元号が使われるのか考えたことがあるでしょうか。今回は、そんな「元号」がどのように決められているのかをまとめてみましょう。

中国から伝わった「元号」

まず「元号」とはどういうものなのかを紹介します。日本を含むアジア東部で広く用いられていた紀年法(年を数えたり、記録したりする方法)のひとつです。最初に元号が使われたのは、紀元前115年頃。今の中国の辺りを統治していた前漢という国の皇帝”武帝”が、漢字と数字を組み合わせて年を表したことが始まりとされています。そのように呼び方をつけることで土地や人々を時間的に支配している”権威の象徴”の意味合いを、今でも元号が持っていると考えられています。

日本には、朝鮮半島を経由して元号の文化が伝播しました。西暦645年に孝徳天皇が定めた「大化」が最初で、現在の「平成」までで247の元号が使われてきています。しかし、1代の天皇の在位中に、1つの元号しか使わない、という「一世一元」を用いている国は現在日本だけになってしまい、先ほども使った「西暦」も広まった現代では、不要論を唱える人すら出てきました。そんな中、今上天皇(在位中の天皇)の明仁様の具体的な退位の日程が2019年4月30日に決まり、新皇太子の即位が2019年5月1日に予定されています。それに合わせて、「改元」(元号を改めること)も5月1日に行われる予定なのです。

有識者がこうして元号を考えている

そんな元号は、誰がどのように決めているのでしょうか。

●誰が?
以前は権威の象徴であったことから天皇自らが決定していましたが、現在では政府の仕事になりました。数名の有識者に新しい元号の候補を考えるように内閣総理大臣から指示が出され、有識者は意味や典拠などの説明を付けた2~5案を提案します。有識者は、たとえば日本学士院の会員、文化功労者や文化勲章の受章者、またはそれに匹敵する著名な人のなかから選ばれ、加えて制定された時点で存命であることなどの条件がつけられています。

●どんなルール?
1979年に出された閣議報告の「元号選定手続き」には下の6つが書かれています。
1.国民の理想としてふさわしいような意味を持つもの
2.漢字2文字であること
3.書きやすいこと
4.読みやすいこと
5.これまでに元号又は諡として用いられていないこと
6.俗用されていないこと

元号は、伝統的に「漢籍」(中国の書物)を典拠とした二文字が選ばれていることから、5には中国で使われた元号も含まれています。現在の「平成」も、『史記』の「内平かに外成る」と、『書経』の「地平かに天成る」の、”国内も世界も平和になるように”という意味合いの2つの言葉が漢籍から用いられました。

有識者がこうして元号を考えている

また近年は「明治」を”M”・「大正」を”T”・「昭和」を”S”、「平成」を”H”と、頭文字のアルファベット表記を用いることも多くなりました。そのため、近しいものとの重複も避けて検討されていると言われています

72文字と未採用元号から予想してみよう

今まで247の元号が使われてきましたが、時代によっては4文字の元号が使われたこともあるため、全部で504文字の漢字が使われました。加えて、「永」が最多の29回、「元」と「天」が次ぐ27回と、何度も使われた漢字もあり、実際に使われたのは72文字に限られます。書きやすく、読みやすく、意味のいい漢字は数が限られるということもあるでしょう。

そして、典拠か考案者が明らかな平安時代中期以降の元号202個のうち65%にあたる132の元号は、かつて候補にのぼった「未採用元号」から改めて選び出されて決定しています。そのため、既に使われた72文字や、未採用元号で使われた100文字余りを加えた漢字が新元号でも使われるのではないかという声もあるのです。

そして、1文字15画を上限としてなるべく画数を減らし、なじみやすい漢字を新元号には用いるという方針を政府は発表しています。そんなたくさんのルールや慣習を基に決定される新元号、みなさんも調べて予測をしてみるというのもおもしろいのではないでしょうか。

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事業構想大学院大学准教授/鈴木洋仁

監修:事業構想大学院大学准教授/鈴木洋仁

1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。 京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金、東京大学を経て現職。専門は、歴史社会学。著書に『「元号」と戦後日本』(青土社,2017年)など。 HP: https://researchmap.jp/hyoojin

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